今週のゲストは、中谷満さんです。中谷さんは、打楽器奏者としてこれまで様々な楽団でご活躍され、現在は相愛大学教授として後進の育成にも力を注いでいらっしゃいます。そんな中谷さんが、この10数年ずっと関わってこられた取り組み、それが糸賀一雄記念賞音楽祭で、現在は糸賀音楽祭の実行委員長も務めていらっしゃいます。毎年秋に、栗東芸術文化会館さきら(滋賀県栗東市)において開催されるこの音楽祭は、滋賀県内7つの地域で表現活動を行う障害のある人と、プロのアーティスト、そして観る人たちが一体となって表現することの喜びを分かち合うフェスティバル。ご自身の音楽家としての半生を振り返るとともに、糸賀音楽祭に対する思い、障害の有無を超える音楽表現の可能性について、2週にわたり語っていただきます。
今年度の糸賀一雄記念賞音楽祭のパンフレットを手にする
アサダパーソナリティー(左)と 中谷満さん(右)
第1回の今週は、中谷さんと音楽の出会い、そして音楽家としての道を進むに至った経緯を、楽しいエピソードを交えながらお話しいただきました。
小学校の担任の先生が音楽好きで、たくさん音楽を聴かせてもらい、その影響から鼓笛隊にも入ったのが始まりだそうです。小学校に訪れた吹奏楽団の演奏を目の当たりにし、トロンボーンが格好良く「あれだ!」と思ったとのことで、中学で吹奏楽部に入ったそうです。しかし打楽器を担うメンバーが足りず、打楽器に「回された」そう。高校でも同じような流れで打楽器を担当。音楽への関心は恩師やさまざまな経験を基に膨らんでいきます。
その後、芸大の音楽学部への進み、卒業後は大阪フィルハーモニー交響楽団に入団。さらにベルリンの音楽大学への留学やパーカッションアンサンブル「シュレーゲル」を主宰するなど音楽の道を邁進されますが、どの時期においても、必ずキーパーソンとなる先生や指揮者の方との出会いがあったと言います。
滋賀県大津市出身の中谷さんは、高校時代に糸賀一雄さんの講演を聞いた経験をお持ちで、さらに高校、大学時代とも近江学園に演奏に行ったこともあるとのことで、現在糸賀音楽祭の実行委員長を務めていることにも、強いつながりを感じておられるとのことでした。
第二回の糸賀音楽祭で近江学園ワークショップのナビゲーターを務めたことを振り返り、それまで一定の距離を置いたつながりはあったけれど、直接接するのは初めてだったとのこと。人間として付き合えば大丈夫と思っていたが、実際当初はなかなかスムーズにはいかなかったとのことで、今までの観念から脱皮しなければだめだと気づいたそうです。障害のある彼、彼女たちとのセッションは、「感動値」に共通性を感じるとともに、自分の心を深く掘り下げられた経験でもあったそうです。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。
(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週のゲストも引き続き中谷満さんです。第二回糸賀音楽祭のナビゲーター経験から実行委員長になり、10年以上糸賀音楽祭を間近で見てこられた立場として、その変遷や今後の可能性についてお話しいただきます。11月7日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。