今回はピアニストの谷川賢作さんをお招きしました。谷川さんは、これまで演奏家として様々な楽団やコンサートに出演され、NHKの歴史番組「そのとき歴史は動いた」の楽曲など、様々な作・編曲のお仕事もされています。そんな谷川さんは3年前から、滋賀県における障害のある人の表現活動ワークショップに関わっておられ、先週の放送でリハーサルの様子を取り上げた、湖南ワークショップグループとのセッションはおなじみです。彼ら彼女らとのセッションを通じて感じること、障害の有無を超える音楽表現の可能性について語っていただきました。
谷川さんが、滋賀県で表現活動ワークショップに関わるようになったきっかけは、糸賀一雄記念賞音楽祭の総合プロデューサーである小室等さんからの声掛けだったそうです。身構えるということはなかったが、小室さんからもらった話の中で一番衝撃的な話しだったとのこと。この、衝撃を受けたということで、いかに自分が「障害」ということについて先入観があるということに気づかされたと当時を振り返ります。
先週の放送に登場した湖南ワークショップグループの‘エーチャン’こと後村英治さんにまつわるエピソードは絶えません。ピアノが好きな後村さん。谷川さんがステージに入る時にはすでにピアノの前に座っており、谷川さんがそばに行っても譲らず。スタンスとして「排除しない」ということを聞いていたので、無理に除けてもらう訳にも行かず後村さんにすっかりピアノを独占されたこともあったそうです。そのため、後村さんより先にピアノの前に座り蓋は開けず、そばにピアニカを置いておき、そちらに気を向けてもらおうという作戦を取ったこともあったそうです。
総合プロデューサーの小室さんからは、「谷川の音楽世界をあまり構築するな」と最初に言われたそうです。そうしてしまうことで、谷川さんの手の平の上でみんなが踊っているようになってしまうからと。その言葉を谷川さんは大切に彼らとのセッションに臨みます。
基本的に共演する時は、共演者への信頼が前提にあるが、湖南ワークショップグループのメンバーにとって自分は、まだ「信頼」という言葉に当たるところまでは、まだまだいっていないと谷川さん。3~4回、セッションした時点でようやく、後村さんにも認識してもらってきた感があると。そうした積み重ねから、お互いの音に感応しあうのが夢だということでした。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。
(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週も引き続き谷川賢作さんをゲストにお招きして、お話を伺います。12月19日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。