先週に引き続き、音楽家の谷川賢作さんをお迎えしてお話を伺いました。
10月の現地リポートで取材した「ほほえむちから」レコーディング。谷川さんはこのレコーディングにもピアノで参加してくださいました。この楽曲の作曲は小室等さん、そして作詞は谷川さんの御尊父でもある詩人の谷川俊太郎さん。今回の糸賀一雄記念賞第十三回音楽祭のフィナーレでも出演者、観覧者全員で歌ったこの歌を聴くところから、今回の放送は始まりました。
話題はサックス奏者の坂田明さんに。坂田さんも糸賀音楽祭に過去2年出演し、「ほほえむちから」のレコーディングにも参加してくださっています。毎回各ワークショップグループメンバーとの見ごたえあるコラボレーションを披露くださっています。
坂田さんの存在のすごさについて谷川さんは語ります。糸賀音楽祭に参加しているワークショップグループのメンバーは、谷川さんがピアノを弾いているとみんな寄ってきてちょっかいを掛けてくる。しかし、坂田さんにはみんな近寄れない。常にグループの中心という意識でパフォーマンスをしているメンバーでさえ、坂田さんには一目を置いていると言います。どちらが良い、悪いということではなくそれぞれのミュージシャンの立ち位置の違いの面白さと谷川さんは捉えているようです。
障害のある人たちと幾度も共演することで、当初持っていた「先入観」に変化があるかという質問に対し、変化はなく先入観は持ち続けていると言います。それは差別と言うことではなく、かみ砕くと「こわい」感があるということだそうです。さらに具体的に言うと、ともに音楽を表現する時、根底として必要となる信頼感を彼、彼女たちと築けるかという「こわさ」だそうです。ただ、築けるかどうかをすぐに結論を求めようとは思っておらず、自分を認識してもらい始めた今の段階から、少しずつ何かを築いていけるかもしれないという試行錯誤を繰り返して行きたいとのことでした。
そして、純粋に‘エーチャン’こと後村英治さんのことをもっと知りたいと思うと、2週に渡って話題は後村さんにつながりました。「ソ」と「ラ」で10分間弾きつづける後村さんの宇宙に入りたいとすら思うとのことですが、こういうことを言うと坂田さんに「傲慢だ」と言われるそうで、いつも坂田さんとは飲みながらこんなことを論争しているそう。
糸賀音楽祭について、観客がいる限りやはり面白いものを見せたいし、今までの繰り返しではない一期一会のステージにしたいと思いを語ってくれました。そして、これからも後村さんとどんな「戦い」が起きるかも楽しみにしているとのことでした。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。
(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
現在NO-MAでは「第11回滋賀県施設合同企画展~ing…障害のある人の進行形~」を開催中です。次週は同展に出展中の2人の作者の現場にお邪魔して、作品の制作の様子や作者本人のお話を現地リポートします。12月26日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。