先週まで2週にわたって放送した、きたやまおさむさんの特別講演。講演でお聴きしたことをさらに掘り下げるべく、講演後にインタビューをさせていただきました。
アール・ブリュットの作品を、「分類できないが、それをそのまま置いておくことができるもの」という講演でのお話を基に、何事も分類する社会において、分類できないものが町の中に放り込まれて、そういうものがそこにあっても良いのだという時間、空間になることは、作者も含めて私たちの中にも居場所ができるということだとおっしゃいます。
分類不能なもの、作品に出会った時、ある種の吐き気のようなものを覚えることがあるが、吐き気というのは未消化物を心の中で感じているということ。しかし未消化物は消化されるようになると、栄養となるものも含まれているので、血となり肉ともなり得るもの。なのでそれを唾棄すべきものとして吐いてしまうと、消化する機会を失ってしまうことになるということでもある。英語の「ダイジェスト(digest)」という言葉は一つの単語で消化する、理解するという意味を持ち、日本語においても同じ言葉にあたる、「こなす」は消化する、身に付けるという意味を持つ。「こなす」ためには置いておくしかない。「心の胃袋」の消化力をあげるためには、「こなす」ための機会を得なければならないが、アール・ブリュットは「こなす」ことを経験するいい機会になるというお話しは、講演内でお話されていた、「分類不能なものを置いておく力」ということをさらにわかりやすく話していただいたと思います。
講演と併せて聴いた方はこの理論がこなれたのではないかとも思います。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週は、今年度1年間の放送内容をアサダパーソナリティーと田端現地リポーターが振り返ります。放送は3月27日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。