5月最初のゲストは、映画作家、プロデューサーの代島治彦さんです。代島さんは、数々のテレビ番組やドキュメンタリー映画の監督・プロデュースで知られています。2006年からは国内のアール・ブリュットの作者33人の記録映像を録り続け全10巻のDVD『日本のアウトサイダーアート1~10』を発表、2014年には記録映像『アール・ブリュットが生まれるところ』を発表されています。そんな代島さんに、アール・ブリュットの作者の映像を記録し続ける動機、アール・ブリュットの魅力について語っていただきます。
最近、故大津幸四郎さんと共に監督を務められたドキュメンタリー『三里塚に生きる』を発表したばかりの代島さん。「このことは違うんじゃないか」ということを自分たちの責任で主張し闘った、三里塚の人たちを描いているこの映画を、今の若い人たちに見てほしいと代島さんは言います。今の時代には長いものさしでものをとを見ることが必要であると考えているとのことで、自分の五感で記憶できている歴史は5歳くらい以降のものだが、長いものさしを獲得するには他者の肉声を聞くに勝るものはないからだそうです。ここで言う肉声は、話している内容だけでなく、その人が話す音調も含まれます。
代島さんは大手広告代理店に勤めていらっしゃいましたが、自分のメディアを持ちたい、自分で扱えるものを作りたいと思うようになり独立。雑誌等も手掛ける中でプロデュースした映画(『パイナップルツアーズ』)において、3万人を動かすという出来事に会い、「こんなに面白いインディペンデントメディアはない」と思ったそうです。
アール・ブリュットの作者の記録を撮り始めたのは、友人からの依頼がきっかけだったそうです。表面的に撮っても伝わらない、言葉でなく存在をどう撮るか、そこで作者たちがやっていること、生きていることでどう彼らの存在を見せるかに力を注ぎ、彼らと向き合ったとのこと。その結果が33人の作者全10巻のDVDに表れています。10年間撮り続けてきた道のりの始まりは、彼らは素晴らしい作品を作るアーティストということ。しかし、そのプロセスまではそれまで見せてこなかった。そこを出そうということで取り組んだのがこのDVDでもあると言います。
10年経った今は、少しスタンスが変わってきているということですが、このお話は、次週お聞きします。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は翌日
次週も引き続き代島さんにお話を伺います。5月8日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。