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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」8月第1週 「ある現代美術科の創作原点とアール・ブリュット-パラモデル・中野裕介さんの場合-」前編

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2回にわたって、現代美術ユニット「パラモデル」のメンバーであり、京都市立芸術大学の非常勤講師も務める中野裕介さんをゲストにお招きします。中野さんは相方の林泰彦さんとともに「パラモデル」として、様々な手法を用いた美術作品を国内外の展覧会で発表してきました。中野さんが制作を続けるうえでずっと心の中に生き続けている、ある存在について、アール・ブリュットの可能性と絡めながらお話しいただきます。


中野裕介さん(左) アサダパーソナリティ(右)

 パラモデルの林さんと中野さんは年齢こそ違えど、大学の同級生。同じ町に住んでいたこともあり、一緒に帰宅したり、学祭でバンドをしたりと遊んだり活動したりしていたそうです。卒業後、「行き場を失った」という中野さん。日本画という伝統もあり技法も確立されている分野の中野さんと、型にとらわれない先鋭的な構想設計という分野の林さんは、いわば両極端な美術をそれぞれ先行していたのですが、そういうことにとらわれずに、何か面白いことしようというのが、二人がユニットとして活動を始めたきっかけだそうです。
 いざ、何かやろうという時に最初にしたのが、パラパラ漫画。それがアニメーション、映像となっていきと形を変えていったそうですが、いつも変わらないスタンスは「遊び合っている感じ」。パラモデルと言ったら、多くの人が思い浮かべるプラレールを使った作品は、京都のギャラリーから展覧会を依頼され、二人でああだこうだと喋っているうちに、ポロッと出てきたものだそう。
 中野さんが一貫して書き続けている、前足がないテナシイヌや盲目のシュントクマルというキャラクター。障害があるということや、「欠損」しているというコンセプトはどこから来ているのか。子どもの頃に遡ると中野さんは言います。漫画を描いて過ごしてきたという原体験の中で、いつのまにか「不具合がある」キャラクターを描いていたそうで、それは『アキラ』や『火の鳥』、『ブラックジャック』等の格好良さへの憧れであり、首や手首がない仏像という不思議さへの関心ということがあったのではないかとのことです。「ない」ところから次の新しいものが生まれてくる感じもあったとのこと。

今年度は、滋賀県施設合同企画展(通称:ing展)にも関わっていただくことになっているのですが、関わることが決まった時に振り返ってみたら、大学2回生の頃に京都文化博物館で観た「アール・ブリュット「生の芸術」-その発見と未来」(1997)が初めてのアール・ブリュットとの出会いだったそう。アドルフ・ヴェルフリやアロイーズ・コルバス、京都のみずのきの作品を観たことは、いまも深く印象に刻まれているそうです。これらの絵画を観た時に、憧れを感じたし、イマジネーションの原型とはこういうことだと感じたとのこと。るつぼというか、蠢いている感じ、これこそがイマジネーションであり、それをアール・ブリュットの作者は表出していると。自分たちには、このイマジネーションを出力する力が欠けていると思ったそうです。
 次週はさらに詳しく制作する立場からみたアール・ブリュットについて、お話しを伺います。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週も引き続きアーティストの中野裕介さん(パラモデル)にお話しを伺います。8月14日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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