先週に引き続き、graf代表、クリエイティブディレクターで滋賀県ブランディングディレクターの服部滋樹さんにお話しを伺いました。
今週はブランディングディレクターを務めている滋賀でのMUSUBU SHIGAプロジェクトについて伺いました。
そもそもブランドとは日本語に置き換えると何かということが、滋賀でいろんな産業に従事している人、営みを延々と起こしている人たちと出会い話をする中でわかったと言います。それは「語れる物づくり」とのこと。生み出される物は良い、でも作った人はその物について語ってこなかったというのが今までだったと。なぜなら、それは語れなかったからであり、なのでそばにいる「よそ者」の自分が語っていくべきと思ったそうです。
MUSUBU SHIGAでは6つの領域に分けて調査をしています。どうリサーチしているかというと、先週のお話しにありましたが、滋賀との関わりは長いということもあり、今までのたくさんのつながりから調べているとのこと。また、県庁内でも各セクションからの代表者が集まった会議が持たれているとのこと。
たくさんの出会いがあるので、飲み会で人と出会い話を聞くことも多いそうですが、飲み会の場で話を聞くのと、その人の現場で話を聞くのはまた違った話と雰囲気があって良いと言います。そうした言葉の行間にある雰囲気、意味を体験してもらえるような紙面づくりに努め、取材先へもリクエストしているそうです。MUSUBU SHIGAのような形で取材が入るということは、自分たちの日常を面白いと思ってもらえると認識できることであり、結果自分たちの誇りが高まるということにつながるのだそうです。これこそがこのプロジェクトの肝なのでしょう。
アール・ブリュットについてどう感じているかというと、現代アートとも区別したことがないそうです。ものづくりしている人と、思いがけない出会いを求めている部分が服部さんの中にはあるそうで、そういう出会い方を出来るのがアール・ブリュットだと言います。また、作為があるものに対する違和感を持ってしまうとのことで、違和感を感じるものをピュアに見る視点も持てなくなっている中で、意図も裏もなく見る本人自体もピュアに受け止められる代物であるとも言います。
MUSUBU SHIGAで、アール・ブリュットを語るとしたら?という問いに対して、他と区別せずフラットに考えているので、「その土地に根ざした人」ということと同じに考えるとのこと。人が営みをおこなうのに適切な状況、環境が整っているのが滋賀だと思っておられるそうで、この土地とどう付き合うかなど、アール・ブリュットの作者もあらゆる滋賀との反応として作品を生み出しているのではないかと。アール・ブリュットの作者と同じようにその土地を体感した人たちとのコラボレーションなどが生まれたら面白いのではないかと思うとのこと。例えばパッケージデザイン。アール・ブリュットの作者が潤滑液のような役割を果たしてくれるかもしれないと思うと、服部さんが果たしている役割も、障害のある人やアール・ブリュットの作者にも出来るのではないかとすら思うとのことでした。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週は現在NO-MAで開催中の「これ、すなわち生きものなり」の現地リポートです。9月25日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。