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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」10月第4週「アール・ブリュットから垣間見る世界の秘密」鎌田東二さん 後編

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今週も、京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二さんにお話を伺いました。


 鎌田東二さん(左) アサダパーソナリティ(右)

アール・ブリュット作品について、「ワンパターン」ということのほかに気づいたことについてお聞きしました。
「小ささの中に世界がある」「微小と巨大が混在している」ことだと言います。小さいモチーフの単なる繰り返しに見えるが、繰り返されるうちに一気に別の次元に転化している様子が見えるそうです。また、「地図」のように見える作品も多いとのことです。
先週のお話にもありましたが、現実界だけでなく異界ともつながっている、そういう世界があると鎌田さんは考えていらっしゃいますが、そういう世界がアール・ブリュットの中にも見えるそうです。
地図というのは上から見ている状態で、鳥瞰的。その地図は微小の繰り返しで埋められています。そのミクロとマクロは調和しているようで、不調和だと言います。いわば穴が開いているような状態で、鎌田さんはその穴は異界へワープしていける穴ではないかと考えるそうです。人間が表現をするということは、その穴から出ることの欲求があるからではないか。「ワンパターン」と、「ワンパターンの崩れ」を生きているのではないかと思考は深まっていきます。
このことをご自身の経験で説明くださいました。鎌田さんは月に向かって歌うことがよくあるそうです。丑三つ時などにご自身が作詞・作曲した歌を。歌はワンパターンで一つの構造があるそうですが、100回歌っても200回歌っても歌は少しずつ変わっていくのだそうです。違う穴につながっていく感じだそうです。そもそも基本的にある種の「快」がないと行為は続かないのですが、繰り返していく中、ある時点でまた別次元の「快」へスライドしていく感覚があるそうです。

また鎌田さんは、統合失調症と統合のあり方に関心を持っているそうです。ご自身の行動パターンと非常によく似ているからと言います。ビジョンが立ち上がってくる、音が聞こえるということは昔からあったそうで、創造と狂気の分岐点、際どい部分をいったりきたりしながら統合している力ということに関心があるのだそうです。

鎌田さんがメンバーとして所属する「モノ学・感覚価値研究会」のメルマガ「東山修験道324」で、このラジオにご出演したことも取り上げてくださいましたので、その一部を抜粋してご紹介します。(掲載については鎌田さんに快諾いただきました)

~吾はまず自分の研究テーマや研究領域を話し、毎年大津で開催されている「アール・ブリュット」の展覧会や「アール・ブリュット」を含む障碍者アートの特色や可能性について、パーソナリティのアサダワタル氏と語り合った。おもろかった。
(中略)
ところで、ラジオでは、アール・ブリュットについて、その「ワンパターン」と「ワンパターン」の過剰なる「反復」が「異次元」や「異世界」や「超越」を生み出すというようなことを話した。
もう一つ、アール・ブリュットのアーティストたちの描く世界が「街の手描き地図」のようであること。そしてそれが、「地図」のようでありながら、明確な方位や秩序を示す地図とは異なり、異世界に乱入していくようなカオティックで「迷宮」的な不分明さがあること。
アサダさんは、アール・ブリュットの作家たちが「鳥瞰的」であると言ったが、その「幽体離脱的なまなざし」はおもろいね。
吾も「バク転」や「バク宙」にこだわるのは、地上重力圏を離れて、超越軸に乱入したいからだと思っている。
いつか、そのバク転の果てに、異世界に戻れるんじゃないかと思ってる節があるような????
ともあれ、おもろい対談で、いろいろと考えさせられたのよ。~

繰り返したり、「バク宙」(鉄棒でぐるぐる回るのも同じようなこと?)のようなことで日常を超越するような感覚は、多くの人が何となくわかるのではないでしょうか。お話を聞いているだけで「異世界」と「現世界」を行き来させてもらった感覚になりました。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

来週は、NO-MA展覧会関連イベントとして開催された小松和彦氏(文化人類学者、民俗学者)の講演会「民族社会のなかの妖怪たち」を公開収録した様子をお届けします。10月30日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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