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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」1月第5週  「障害者の作品の魅力と可能性について」 今井祝雄氏、中野裕介氏 前編

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今週から2週にわたって、今井祝雄氏と中野裕介氏という二人の美術家をお招きして開催された、第12回滋賀県施設合同企画展(ing展)のトークイベントの模様をお届します。

お二人とも、過去にも本番組にそれぞれご出演いただき、ご自身の制作背景やアール・ブリュットへのまなざしを語っていただきました。(まだお聴き出ない方は、Podcastで今井氏第45、46回、中野氏第97、98回をお聴きいただけます)
今回は、お二人の制作スタイルやing展の作品に感じることについてのお話を聞いた、ing展実行委員の質問にお答えいただいています。


中野裕介氏(左)と今井祝雄氏(右)

聞き手の百々(どど)実行委員長から最初に出たのは、「お二人の話を聞くなかで、ing展出展者には『自由を意識しない自由、完全自由』ということを感じ、一方、まだお二人は『自由を求めている、まだ完全自由ではない』という風に感じているように思うが…」という投げかけでした。

創造や創作において必然性と強度に加え、遊びや喜びが入ることも大事だが、そのバランスが難しいと中野氏。ing展に出展している作者たちには「気ままである」という自由さがあると言います。それは施設職員たちの支えがあってこそであり、それも重要で、その辺いろんな意味で羨ましいと言います。

今井氏は、具体美術の元永定正氏が大学の授業でしょっちゅう「アートや、アートでなくてもどうでもいい。おもろいことやれ!アートかどうかは後(あと)で考えましょう」というダジャレを言っていたことを引き合いに出しながら、現代美術も最初は必ずコンセプトを聞かれ、作家は作品のことを言葉で伝えるを求められることを話されました。しかし、言葉ですむなら言葉にそもそもしている。言葉にならないから、形や色にしているのだと言います。また、ここから「アート」ということについて話は及び、ファイルも展示されているing展。アートとは言えないものもあれば、アート的なものもある。芸術的価値、福祉的価値どっちがどっちではなく、どっちも大事。それのどっちであるかを見極めてみるべきで、なんでもアートと言ってしまうのは、おかしいと警鐘を鳴らします。このことが、アール・ブリュットの盛り上がりのなかで批判する人の根拠になっているのではないかと。

中野氏は、第三者の視点が入るのが、健常者(という言い方をしてよいのかと迷われながら)の美術の成立の条件。作る側の自分はどうしてもそういうことを考えるとのこと。ただ、自分でも充分に作品と思うもの、それが社会の中でどう受け止められるかのずれはあると言います。

今井氏が今も続けているデイリーポートレート。まだ始めて2カ月のころにこの写真をカレンダー的に並べてみたそうで、すると、「なんか違う、これは重ねるもので時間の厚みを見せるもの」と気づいたそうです。やりつづける中で、作品が教えてくれることもあるのだと言います。今回の展覧会も、作品が教えてくれることがあるのではないか。そして教えてくれることが多いほど、いいのかなと思うと。

これを受けて中野氏は、創っていくなかで気づいていくということでは全く一緒と共感。「ing」というコンセプトを聞いたときに、全くその通り、作家はこうあるべきではないかと思ったそうです。
ingということについて、今井氏も「完成と言うことはない、常に更新していく、進行形である」と言います。

さらに中野氏は、完成があると思うと、完成に至れない自分に気づいて悩む。しかし前提として完成がないとしたら、行為をすればよいことで、楽になれるのではないかと思うと益々お二人の話は呼応し合います。
この後、福祉的価値とは?というお話が展開され、創作をサポートする職員のスタンスにまで話は及びます。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週は引き続き、今井祝雄さんと中野裕介さん(パラモデル)のトークイベントの続きをお伝えします。2月5日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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