先週に引き続き、第12回滋賀県施設合同企画展トークイベント、今井祝雄さん、中野裕介さんによるお話です。先週の後半でも話題になっていた、障害がある人たちの造形とサポートについての話題からスタートです。
中野氏は、以前、アートセラピーについて調べたことがあるそうで、それと比してもing展でサポートされているような仕組みとは違うと言います。回復を目指してやるのがセラピーで、例えば木の絵を描いてくださいと言った時に、どういう木の絵を描くか細かく見ていくようなことをするわけだが、そういった例と比べても、サポートというのは複雑だと思うとのこと。
今井氏は、現代美術はいかに見せるかも一つの表現になっているが、障害のある人は見せること前提にせずやっていることが多いことを指摘し、ing展はそれを見せているわけで、いかに見せるかはサポートスタッフの一つの表現となっていると言います。障害のある人とのコラボレーションのような感じかなと。
ここから、お二人が作品を見る時に、どういう部分を見て評価するのかという質問が実行委員から向けられ、お二方をそれぞれ象徴するような答えが返って来ていますので、ここはぜひ直接番組をお聞きください。
次の、最近の障害のある人の作品制作の動向をどう感じているかという問いに対して、今井氏は、公募展の審査員をされる中で気づくことがあると言います。最初の頃は出てくる作品に一つの傾向が強かったが、そういうことが最近は少なく、いろんなものが出てくるようになったそうです。これはサポートする側の理解が深まってきたことによるのではないかとみているとのこと。
中野氏は、つぶさにみている訳ではないがとしながらも、中野氏が最初にこういう展覧会を見た1997年当時に比べ、いろんなことに手厚くなってきているのではないかとみているそうです。一方、手厚くなればなるほど、生じゃなくなってくるところもあるのではないかとも思うとのこと。作品の強度はあるだろうからさほど心配はないのだろうが、均質化、マンネリ化していくかもしれないとのご指摘。
そして最後に、お二人から、アール・ブリュットをみる、サポートするなら、他のアートにも関心を広げてみていく必要があるということが共通して話されました。作品だけを純粋にみてみたり、一つ買うとしたらどれを選ぶかという観点でみたりして、アートのメッセージに耳を傾けてみるのも大事である。サポートする側が感度を高めることはこれからにもっと生きてくると思うと。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週は2月12日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。