2月20日(土)、アール・ブリュット☆アート☆日本3のオープン初日に、写真家・映画監督の大西暢夫氏を講師にお迎えし、「レンズを通して見つめた“現場”の姿――精神科病棟で生まれるアール・ブリュットの記録――」と題した講演会が催されました。会場には出展作家の林田嶺一さんもお越しになり、オープニングにふさわしい華やかな幕開けとなりました。
大西さんは、これまで全国各地の精神科病棟を訪れ、一般的にはあまり知る機会のない、病棟内の人々や、彼らの暮らしを写真に収めてこられました。
また以上の取り組みと平行し、多くのアール・ブリュットの作者・作品も撮影してこられました。たとえば、NO-MAのカタログに使われている写真の多くも大西さんが撮影されてきたものです。
講演中は、多くの写真とともに精神科病棟内の様子が語られていきます。様々なエピソードで紹介される人々は、「ノートにびっしり文字を書く」、「洗濯物と一緒に英字新聞を干す」、と不思議な行動を取っているのですが、彼らを紹介する大西さんの語り口はとてもフレンドリーで、どことなくその不思議さを楽しんでいるような、そのような印象を受けました。
病理学的な視点に立てば、一つの「症状」と診断されてしまうであろう諸々の不思議な行動を、大西さんは角度を変えつつ「個性的」、「おもしろい」と見ておられるようでした。そして、そのような視点の切り替えは、アール・ブリュットを扱うNO-MAにも大事なものなのであろうと思われます。