今週も、美術家で成安造形大学芸術学部助教、附属近江学研究所の石川亮さんにお話しを伺いました。先週は、石川さんの制作についてお話しをいただきましたが、今週は「近江学研究所」の活動や、石川さんが捉えるアール・ブリュットについてお話をお聞きしました。
石川さんが関わっておられる成安造形大学付属近江学研究所では、近江の歴史、文化、民族を紐解いてゆき、 それを次の世代に面白く格好良く伝えられるかということを実戦し、またさらに次にも伝えられていくことが考えられています。
「近江の形を明日につなぐ」をコンセプトに企画している公開講座は、主に県内の伝統産業、手仕事の人たちに焦点をあてています。伝統的な仕事が時代に流されず続いているということは、何らかの工夫があるはずでそれが何かを聞き出していく。それを聞いた人たちがまた新しい捉え方をしてそこに意味や価値をつけていくということを試みているそうです。
また、「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM」では、彦根仏壇も取り上げられました。仏壇のお洗濯について仏壇屋さんに話を聞くと、職人さんには当たり前の世界でも、どういう行程で、どう解体するの?と想像がつかないことだらけだたそうです。洗濯のためにバラバラにされた仏壇のパーツを「展示室の中に並べたらどうなるんだろう?大変なことになるけど、どうなるか気になるからやってみたい。やってみよう!」ということを思い立ち、学生に話を持ちかけたところ、予想以上に最初から乗り気だったそうです。並べ方は解体順にして、きちっとみせていく。展示のプロが技術とアイデアを駆使して、その部品を綺麗にみせていく。大学にしか出来ないことと実感したそうです。
石川さんが今まで表現してきたものと、近江学、そして滋賀が向かおうとしている文化施策はそう遠くないとも感じているそうです。
アール・ブリュットの作品の強さ。中にはすごいなあと思うものもあり、正直に悔しいなあということもあるそうですが、作品がどう出てきているのかも気になっているとのこと(美術家のそれとは違うと捉えているとのこと)。
アール・ブリュットを滋賀の文化としても捉えていく、まずはそれを理解しようというところから始まったと見ているそうですが、石川さんはまずはアール・ブリュットという言葉を理解し、最後は個人の表現としてどう見ていくかと、一旦切り分けて考えたそうです。そう見ていくと、アール・ブリュットという土台は作る、しかし作りながらも先ではそれを解体しようとしているのではと思えるそうです。
新生美術館で近現代美術、神と仏の美、アール・ブリュットを束ねようとしている滋賀は、一旦枠組みを設定して、行く行くは解体していく、このようにすべてが取り払われたところに文化があるとも思っていると、示唆深い発言で今週は時間いっぱいとなり、次回に続きます。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週も、石川亮さんにお話を伺います。5月13日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。