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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」5月第3週「続・滋賀ならではの‘美’ってなんですか?アートの視点から考える」伊熊泰子さん 前編

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今週から2週にわたって、新潮社『芸術新潮』編集者の伊熊泰子さんをゲストにお迎えします。伊熊さんは中高と滋賀県大津市で過ごされて、大学進学を機に上京。そのあと、新潮社にて写真週刊誌「FOCUS」、月刊誌「芸術新潮」、月刊誌「旅」などの編集者としてご活躍されてきました。滋賀県とも縁が深いことから、数年前から滋賀県固有の文化、美の力、そしてアール・ブリュットにも関心を寄せています。そんな伊熊さんと「滋賀ならではの‘美’ってなに?」というテーマをアール・ブリュットも含む様々なアートシーンから語っていただきます。


 アサダパーソナリティ(左) 伊熊泰子さん(右)

伊熊さんが編集者を務める芸術新潮は、戦後5年後の1950年創刊。日本がまだまだ貧しかった頃に、国民に芸術に触れてほしいということで生まれた雑誌です。最新号は5月号で伊藤若冲(大人気だそうです)。次週発売される6月号は旧約聖書の物語。洋の東西を問わず、古いものから新しいものまで紹介しているそうで、伊熊さんは同誌にトータルで20年くらい関わっていらっしゃるそうです。

「編集者」という職に就いた経緯をお聞きすると、大学3年でアメリカに留学したことが大きなきっかけになっているそうです。アメリカと比べてみた日本のとある状況から抱いた野望を果たすため、編集者の道に入られたのですがこの経緯はとてもユニークなので、ぜひお聴きください。

芸術の中でも特に関心があるのは?との問いには、「芸術新潮の他のみなさんもそうなのですが」と前置きされて、「現代アートも好きだし、若冲など古いものも好きだし、ロマネスクの建築も好きだし…毎日答えが変わるほど」ととにかく興味の幅が広いとのこと。

学生時代に滋賀に暮らしていた伊熊さんですが、そのころは滋賀を好きではなかったそうです。滋賀の前には神奈川に住んでいたので、そのギャップもあったそうです。また関西弁を覚えなければいけないプレッシャーが強かったそうです。標準語では友達になってもらえない感があり、英語より苦労して覚えたと振り返ります。
数年前から、改めて滋賀の文化政策に関わるということになったわけですが、委員を受ける一年前にたまたま滋賀のご友人と近江八幡、安土を訪れ、その美しさに魅了されたそうです。織田信長にはまり、それまで好きではなかった滋賀に対し「ごめんね、滋賀」と思ったそうです。そうしているところに委員依頼があり、贖罪の面もあるんですとのこと。

そうして再確認した滋賀の美とは?との問いには、「安土城にしても美術とも捉えていなかったし、アール・ブリュットも知っていたけど美術とも捉えてなかった。滋賀のアール・ブリュットの歴史を知っていくと、信楽があり、糸賀一雄さんがいてということを知り、面白いと思った」と答えます。それなのに「滋賀は仏教にしてもアール・ブリュットにしても、自慢できるものがたくさんあるのに、どうして自慢しないのだろう?もしかして知られたくないのか?」という率直な疑問も語ってくださいました。

現在はビエンナーレ、トリエンナーレなどが各地で開催されているが、土地の力がないと続かないと断言される伊熊さん。そういう意味では滋賀は宝の宝庫だと言います。滋賀のええトコというサイトのように、写真の力をもって発信し続けるということが必要な発信ではないかとおっしゃいます。魅力的な写真にひきつけられて訪れてもらうことが重要と。「来てさえもらえれば、魅力には必ず気づいてもらえるので」と、学生時代とは真逆の伊熊さんの姿がそこにはありました。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週も、編集者の伊熊泰子さんにお話を伺います。5月27日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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