今週は滋賀県大津市にある滋賀県立膳所高等学校からのリポートです。滋賀有数の進学校として知られるこの高校では、2年生の美術の授業にアール・ブリュットを取り入れています。外部から様々な講師を招いて、多様な目線から語られるアール・ブリュットを知り、年間を通じて考えていくという全国でも例を見ない特色のあるこの授業をご紹介します。
取材に訪れたこの日は、今年度のアール・ブリュット授業2回目(年間14回あるそうです)で、NO-MAの横井学芸員が講師でした。取材させてもらったのは2年8組の美術の授業で、6人という少人数のアットホームな雰囲気の中、学芸員の目からみるアール・ブリュットということについて、今まで出会った作品や作者のエピソードを交えながら、授業が進められていました。
授業終了後、松村佳奈さん、安松日菜さんお二人の生徒さんに授業の感想を伺いました。
二人とも芸術の授業として美術を選択したのは、もともと自分も絵を描くのが好きだし、見るのも好きだからということで、お二人とも作品にとても関心を持たれた様子が伝わってきました。アール・ブリュットという言葉を、以前ラジオで(残念ながらこの番組ではなかったのですが)聴いたことがあるという安松さんは、作品をいくつか見て、その制作背景についても知り、また自分の中にも熱い思いが湧いたという話をしてくれました。
この授業を企画している山崎仁嗣(やまさきひとし)先生は、毎年悩みながらもこの授業を続けていらっしゃいます。過去にこの授業を受けた生徒さんの中に、「自分はアール・ブリュットの作品が好きだと思ったけど、嫌だという人もいて、授業を受けていくうちに、そういう風に自分とは違う考えを持つ人もいるということを受け入れられるようになった」というコメントを残した方がいたそうで、先生もそのことは印象深かったそうです。
言葉にしにくい感覚的なことも含め、最後は小論文としてまとめていくというこの授業。オープンな場ではないのですが、いろいろな人に知って感じてもらいたい試みです。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)
次週は、東近江市立山上小学校からの現地リポートです。校医による内科健診とセットで毎年行われている「命の授業」。そこからどんな表現が生まれているのかリポートします。6月10日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。