今週から2週にわたって、NPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所(通称:ダイバージョン、以下、ダイバージョンと記す)の井尻貴子さんと三宅博子さんをゲストにお招きします。お二人はこれまで研究者や実践者としての立場から、多様な背景をもつ人々の表現活動に関わってこられました。今後は障害のある人やセクシュアル・マイノリティなどの表現活動に携わった経験をもとに、「多様性」と「境界」に関する諸問題に対して、「対話」と「表現」を通じ、新たな「迂回路」(diversion)を作ることを彼女たちがこれから目指しておられます。
彼女たちはどのような現場に赴き、そこからどのような具体的な対話の場づくりを行っているのか、とりわけ障害福祉現場での事例を交えながら、ダイバージョンという団体のミッションに迫ります。
お二人が所属するダイバージョンは「多様な人々が集う時、その人々の間にどのような境界が現れるのか、それをどのように受け止め、社会の中にいられるのか」ということを考えるために立ち上げられたそうです。
多様性、境界というテーマに関心を持ったきっかけについて、井尻さんは、他人がどのように世界を見ているかに元々興味があり、そこからアートに興味をもち、その後視覚障害者と美術作品を鑑賞する機会や様々な障害者と接する機会があったことと話します。
三宅さんは、音楽療法士として重度心身障害児支援の仕事をしていましたが、福祉・医療のかかわりに矛盾と限界を感じ、多様な関わり方やそれぞれの生き方があっても良いのではないかと感じたことがきっかけだそうです。
ダイバージョンの中心的な事業は「東京迂回路研究」というものだそうです。「東京迂回路研究」とは、普段生きづらさを感じている人でも、迂回路を探して歩いていけば生きていけるのではないかということに立脚し、迂回のための技術や知恵を知りながら、「迂回路とは何か」を考えるものだそう。
生きづらさを感じ、自分たちなりに道を探している団体の調査を「もやもやフィールドワーク」と称しているそうで、これまで16箇所の団体やワークショップなどを調査したそうです。調査先の基準は、「一つのカテゴリーにとどまらず、多様な人々が多様なままに共にあることに取り組んでいること」とのことです。
今週はこの「もやもやフィールドワーク」中で、印象に残った現場や団体についてのエピソードについてお話いただきました。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)
来週も、引き続きダイバージョンの井尻さん、三宅さんにお話を伺います。9月23日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。