先週に引き続き、今週もシガラキ・アートコミュニケーションについての現地リポートです。今週は滋賀県甲賀市信楽町の滋賀県立陶芸の森を訪ねました。
シガラキ・アートコミュニケーションとは石野敬太氏を代表とする「ROOF」というユニットが主催する、創作活動を通じて信楽の町の魅力を再発見するプロジェクトです。地元小学校とミシガン大学芸術学部のコラボレーションのほか、今回ご紹介している陶芸の森のアーティスト等と信楽青年寮の作り手とのコラボレーションがそのコンテンツです。
今回のプロジェクトで作られた陶芸のコラボレーション作品が焼成されるとのことで、滋賀県立陶芸の森を訪れましたが、実はこのシガラキ・アートコミュニケーションは、ROOFという民間団体の取り組みでありつつ、事務局は滋賀県立陶芸の森が担っています。この辺の事情を探るべく、陶芸の森の職員佐々木翔さんからお話を伺いました。佐々木さんは陶芸の森の職員であると同時に、ROOMの一員でもあり、業務の一環としてシガラキ・アートコミュニケーションにも関わっています。昨年、陶芸の森設立25周年で様々な取り組みをしたそうですが、その際、館の方向性として世界に発信していくということと同様に、信楽の町、信楽の町の人と密接であることを掲げたそうです。このことが今回のプロジェクトにも佐々木さんが業務の一環として関わることを可能としています。さらに、25周年の事業に石野さんに協力をいただいたことが、今回のプロジェクトに繋がっているそうです。
シガラキ・アートコミュニケーションでは、信楽青年寮の冨増明司さんと陶芸の森にレジデンスされた後、現在もそのまま信楽で制作をしている井掛紗百合さん、信楽青年寮の大杉和夫さんと現在陶芸の森にレジデンスしている田尾晃さん、信楽青年寮の酒井清さんと信楽出身の陶芸作家藤原純さんの三組が共同で作品制作をしています。今回は大杉和夫さん、田尾晃さんペア、酒井清さん、藤原純さんペアにお話を聞きました。
この二組に共通していたのは、作風がそれぞれ違う四人であっても共同制作がとても楽しかったと話していたことです。田尾さんは、考えや視点、スケッチ、作成プロセスなど、ご自身とは違うものであったことが楽しかったと話しておられました。また、藤原さんはこのプロジェクトを機会に他の信楽青年寮の作家さんたちと一緒に制作をしたいと話されていました。それは、今まで信楽青年寮の方々との接点がなかったことや、自身の制作にも刺激になるからだそうです。
普段、信楽青年寮で陶器班を担当している職員の石野大助さんのお話によると、入所施設は外部との接触機会がどうしても機会が少なくなってしまうため、外部の方との共同制作や外に出ての作陶は、新鮮であると同時に意味のあることだと感じていると話されていました。
また、今回のプロジェクトでは作品制作以外にドキュメントブックと映像を一緒に展示しようと考えられていました。その映像担当は山田晃嗣さん(お姿は先週のブログ参照)で、一年前まで信楽青年寮に勤めていた方です。山田さんによると、信楽青年寮に勤めていた経験により、円の内と外を行き来するような視点で見られる立場で映像を取ることができているとのことです。このことで、どこを伝えるべき部分なのか自ずとはっきりしてくる気がしているとお話していました。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)
次週は株式会社きびもく、NPO法人チュラキューブ代表の中川悠さんをゲストにお迎えします。10月14日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。