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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」4月第3週・4月第4週「富山からアール・ブリュットを伝えること―ココペリの実践から―」米田昌功さん前編・後編

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今回は、富山県高岡市にて、障害のある人々の造形活動を支え、発信してゆくアートNPO障害者アート支援工房「ココペリ(COCOPELLI)」の代表を務められている、美術作家の米田昌功さんをゲストにお迎えしました。米田さんは自身も日本画家として活動され、また昨年まで富山県立高岡支援学校教諭として障害のある子どもたちの表現に触れ続けてきました。また、米田さんたちココペリのメンバーは、つい先日まで高岡市美術館にて「ヒカリノヒミツ アール・ブリュット◎TAKAOKA」を開催されていたり、富山の地から積極的、地道にアール・ブリュットの魅力を発信してこられています。そんな米田さんに、自らの美術家、また美術教員としての長年の活動なども絡めながら、「富山の地からアール・ブリュットを伝えること」をテーマに語っていただきました。


米田昌功さん(左)アサダパーソナリティー(右)

ココぺリは、運送会社の建物を借りて、造形活動が好きな知的障害のある人たちが月2回集まって造形活動をするアート支援工房です。個展やグループ展の企画運営や出品のお手伝いもしています。米田さんが働かれていた特別支援学校の美術部では、作品の発表が中心であり、彼らが学校を卒業してしまった後はせっかくの活動が途切れてしまうという葛藤から、スペースをつくって見守っていく必要性が生まれたことが、ココペリ創設の経緯だそうです。
米田さん自身の制作やアールブリュットとの出会いについてもお話いただきました。学生時代、米田さんが東京で展示巡りをするたびに、不思議なことに、必ず米田さんの前方を歩いているご婦人がいらっしゃったそうです。ある日そのご婦人の方から声をかけてくださったそうです。話してみると、そのご婦人は、なんと米田さんがとても影響を受けた作家に縁の深い方で、彼女の作品を見せてもらったときも、非常に感銘を受けたそうです。その方が、小児麻痺を患っており、中学の頃から一人で活動されてきた背景などを知り、はじめて魂から直接的に作品を体験した経験を語っていただきました。その体験以降、アールブリュットへのアンテナが立ち、意識して色々みだした頃に特別支援学校の先生のお仕事の話がきたそうです。
富山という土地ならではのお話もうかがいました。従来の「絵画」「彫刻」などジャンル分けされた公募展に加え、作品のジャンルを問わないタイプの新しい公募展が2003年に富山で始まったときに、ココペリ(の前身)のメンバーもたくさん応募して入賞されたそうです。ここから注目を集めるようになったという経緯があるそうで、富山では福祉よりも美術関係が先に理解していったという流れがあるそうです。美術分野での入賞などによって、施設にも新しい気づきをもたらし、それがきっかけで施設でも創作活動が行われるようになったという事例も紹介されました。美術から福祉の方にも影響があったのですね。また、トランクプロジェクトを通しても、他地域の特性や富山特有の傾向などが垣間見えたそうで、今後は高岡の観光地という側面と連携して何かできないかとお話されていました。
また、米田さんが出版されたマンガ、「立山縁起絵巻」にも話は及びました。「神話」は、米田さんの子どもの頃からの創作テーマだったそうです。あるとき制作に行き詰まり、立山曼荼羅を見にいったら、目から鱗だったそうで、そこから制作も軌道に乗り、継承する人がいないということもあり、米田さんはご自身が描いていく決意をされたそう。米田さん曰く、立山曼荼羅とは「多次元多層的な絵画」であり、この世界観では地獄も仏の世界であり常に上向きのポジティブな世界なのだそうです。米田さんご自身の表現の原点とアールブリュットの活動は、実はすべてリンクしているようです。地獄も人間界も極楽も、すべてが同じ世界観の中で一同に描かれている立山曼荼羅は、密教系の厳格なものとは違い、どこか皆嬉しそうな愉快な雰囲気で、これもまた多様性の世界なのだ、と米田さんはおっしゃっていました。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)

次週は、社会福祉法人グロー法人本部企画事業部の鈴村りえと山田創によるトークです。2015年から始まったタイでのアール・ブリュットの取り組みについてお届けします。5月5日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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