人は作らずにはいられない、表現せずにはいられない。そして、作る背景には、本人だけでなくご家族や支援者の方々が関わってきたささやかな物語があるということを、この展示に関わることで強く感じました。
滋賀県施設・学校合同企画展(通称ing展)は、2004年のNO-MA開館当初から毎年開催されてきました。会場であるNO-MAと、参加施設である県内の福祉施設、特別支援学校の職員、地域の造形教室の講師たちが実行委員会を組織して、企画が運営されてきました。それぞれの参加施設の利用者たちによって生み出された自由な作品の数々が持ち寄られ、実行委員たちが展示にこだわりをもって話し合いを重ねてきました。
今回は、24か所の福祉施設、2つの特別支援学校、地域の造形教室が参加し、前後期合わせて39名の作者の展示となります。
この作品は、このような方がこういう風に作られていて、それをこんな風に飾れば、魅力が出るのではないか、作者の思いにかなうのではないか・・・
ひとつひとつの作品に支援者である委員が向き合って、試行錯誤して形作られた展示です。
作者といっしょに展示を見て、その顔に誇らしさや笑顔を垣間見たとき、作品や作品にひそむ物語が展示を観た誰かの心に届いたとき、それは私たちの最大の喜びとなります。
今年一番の特徴は、前後期ともに過去を含めた出展者の制作の流れを見せたい委員の方が多くおられたことです。より良くなった過程だけではなく、できなくなった過程、作風の変化も含めて。その流れの中に、作者の人生が少しでも色濃く浮かび上がるように。そこには、支援者ならではの眼差しがあるのかもしれません。
また、前期では壁の一部をオレンジ色に、後期では、真っ青なパネルを利用するなど、委員の展示プランがNO-MAという町家に新たな顔を見せてくれました。
彼らの日々に寄り添う支援者ならではの展示に、ぜひ足をお運びください。
さらに、関連イベントとして、1月21日(日)にNO-MA近隣の酒游舘で「ingオープンアトリエ ごちゃまぜワークショップ」を開催します。
出展者の創作の様子を身近に感じて、つくること、表現することをいっしょに楽しみましょう!
オープンアトリエチラシ
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明日は、2月9日から3日間、びわ湖大津プリンスホテルで開催する「アール・ブリュット国際フォーラム2018」についてご紹介します。
(担当:高山)