古久保憲満と松本寛庸
二人の作家によって描かれた
紙の上の超世界[SuperWorld]
その作品に立ち会った時に現れる架空の、あるいは未知なる世界は、私たちが知っている〈はず〉の世界を、実は〈見ていなかった〉ことに気付かせたり、あるいは、架空である〈はず〉のこの作品世界の中で、これまで見たことのないものを、まるで現実のように既知なるものとして〈見える〉ようにしてくれたり。世界はまだまだ多様であることへの気づきは、私たちの新しい知覚の発見次第かもしれません。
講師は、人文地理学という領域で空間に関するさまざまな思索を巡らせてきた、加藤政洋さん。後半は聞き手に本展覧会の監修を務める保坂健二朗さんも交えつつ、トークを展開します。
日時:2012年10月20日(土)13:30~15:30
会場:近江兄弟社学園 教育会館(近江八幡市市井町177)
定員:100名(要予約、定員になり次第締切)
参加費:無料
講師:加藤政洋(立命館大学文学部教員〔人文地理学〕)
聞き手:保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員 / 本展監修者)
古久保憲満さんと松本寛庸さんの作品をNO-MAで拝見したとき、わたしには二つの文学作品が想起されました。それは、フランスの小説家ジョルジュ・ペレックの『さまざまな空間』、そしてイタリアの作家イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』です。おそらく、未知だとか架空だとかを問わず、そのどれもが〈世界〉のありよう――たとえば、それは「さまざまな空間」であったり、「都市」であったりするのですが――を、体験させてくれたからにほかなりません。限られた空間(紙)の上に描き込まれる現実-かつ-想像上の場所。違和感というよりは、むしろ奇妙な既視感を覚えながら、ふと気がついてみれば、作品を通じてそっと垣間見ていたはずの〈世界〉へと入り込み、今度はそこから現実の都市なり空間なりに眼差しを投げ返すかのような体験。そうしたわたし自身の空間の経験をもとに、世界を想像/創造することについてお話しさせていただこうと思います。
―加藤政洋
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ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
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