静岡県沼津市にある老人デーサービス「すまいるほーむ」。先週までのゲスト、六車由実さんが管理者を務めるこの事業所の納涼祭にも、「聞き書き」が活かされています。
思い出の味づくり―
「聞き書き」の中で話される、利用者さんお一人お一人の思い出の味。「すまいるほーむ」納涼祭では、その思い出の味を再現し、みなさんで味わうということをされていました。
今回の思い出の味は、実は昨年の思い出の味と同じメニュー「石井さんの餃子」。石井さんは、現在「すまいるほーむ」をご利用されていませんが、昨年のこの餃子がとても美味しかったということで、他の利用者さんから、今年も「石井さんの餃子」にしようという声が上がったのだそうです。
みなさんで、ああだこうだとお喋りしながら、始まりました。一斉にキャベツのみじん切り。中央で鮮やかなTシャツを着て、笑顔で見守っているのは村松所長。
タネをこねる担当は、小川ハルコさん(写真手前)。ギュッギュッと迷いのない力強いこね方でどんどん美味しそうになっていきます。「石井さんも、こうしてまたみんなが作って食べてくれて、嬉しいと思うんじゃないかしらね」とこの土地特有のイントネーションでお話しくださいました。
「餃子を作るのは初めてだから、上手にいかないわね」と謙遜されつつも、几帳面で丁寧なお人柄が表れているかのように綺麗に包んでいく秋山ひでさん(写真左)。秋山さんは最近通われ始めたとのことで、昨年は参加されていないとのことでしたが、他の方の思い出の味が、また別の方の思い出の味になっていく、そんな瞬間に出会えた気がしました。
焼き方担当は、とにかく何でも器用にこなされる、スタッフの海福さん。海福さんは以前はデザインのお仕事をされていたそうです。海福さんの手による「すまいるほーむ」内の装飾は、どれも本格的。見事に焼き上げられた餃子は、利用者さん、スタッフのみなさんの昼食になりました。
すまいる音頭―
午後からは納涼祭本番。近所の女性や子どもたちも集まってダンスにゲームに興じました。
なかでもクライマックスは「すまいる音頭」。
すまいる音頭は、東京音頭をアレンジしたもので、太鼓と手踊りから構成されます。(写真は手踊りのシーン)
音頭の練習を引っ張って来たのは、ねじり鉢巻きに法被姿で音頭を取る、百澤(ひゃくざわ)静枝さん(写真中央奥)。前からご利用されているとのことですが、「聞き書き」の中から、最近になって踊りに覚えがある方だとわかったそうです。
すまいる音頭が始まるまでは、納涼祭に参加されている利用者さんのお一人という印象でしたが、音頭の開始とともに、すっと存在感を増し、スポットライトすら当たっているようでした。そしてみなさんの太鼓や踊りを見つめる凛としたまなざしは、お師匠さんそのものでした。
百澤さん実は、この日の前日に退院したばかりとのことでしたが、このお祭りに百澤さんの退院が間に合い、そして参加してくれて良かったと、一事業所を越えた何とも言えない温かい雰囲気が漂っていました。
放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。
(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)
次週は、現在NO-MAで開催中の「快走老人録Ⅱ」の出展者のお一人、白井貞夫さんの制作現場(ご自宅)からの現地リポートです。9月26日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。