2022年4月5日(火)~4月10日(日)
私の絵は銅版画で、すべての絵のモデルは娘の天音(あまね)です。 天音は出産のトラブルによって、重い障害を持ち、すぐに亡くなるだろうという診断を受けました。しかし、19年間生き、そして2000年に亡くなりました。
生きる上での何もかもを、両親や介護者に世話をされなければ生きられないほどの障害でした。大きなケイレン発作に襲われ、風邪をひけば命さえ危なくなるような日々。そんな苦しい日々にも、自分の意志を伝えるための激しい泣き声と、私は負けないという強い眼差しを持った少女でした。
そして、なによりも彼女の曲がったり捩じれたりした身体や手足の美しかったこと。その美しさを知って、私はそれを表現しないではいられませんでした。それが私の絵の原点です。初めは、娘を抱いてペン画やパステル画を描いていましたが、後に銅版画に出会いました。
銅版画の技法が面白くて、天音の存命中も、亡くなってからも描き続けてい ます。絵の中で天音はどんどん成長していきます。
天音が生きた19年よりも、亡くなってからの月日が長くなりました。しかし、今もまだすぐそばにいる気がするのは、生存中のあの激しい泣き声が聞こえる気がするのは、絵を描き続けているおかげです。
今回は、新作と旧作をできるだけ多く展示して、私にとっての集大成のような展覧会にしました。ぜひ御高覧くだい。
山口ヒロミ
会場 | ボーダレス・アートミュージアムNOーMA(滋賀県近江八幡市永原町上16) |
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開館時間 | 11:00~17:00 |
休館日 | 開催期間中はなし |
観覧料 | 無料 |