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ラジオ番組「Glow 生きることが光になる」写真という表現を携えて向かい合った「もうひとつの時間」-写真集『ソローニュの森』から-」(前編2月6日、後篇2月13日)

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今週と来週13日の2週にわたり、ゲストに写真家の田村尚子さんをお迎えします。田村さんは、2012年にフランスのラ・ボルト精神病院を舞台にした写真集『ソローニュの森』(2012/医学書院)を出版し、芸術、医療、福祉など様々なジャンルから注目を集めておられます。思想家フェリックス・ガタリが終生かかわったことでも知られるラ・ボルド病院に向けた田村さんの眼差しは、一人一人の人間に対する純粋で深い興味を現してくれます。


田村尚子さん(左) アサダパーソナリティー(右)

『ソローニュの森』は6年にわたる6回の滞在により生み出された作品集。6回と言っても、最初の訪問では半日だったところを、徐々に滞在日数を延ばし、一番長い時で10日ほど滞在されたとのこと。訪問のきっかけは、ジャン・ウリ院長の来日講演を聴きに行き、出会ったこととのことです。
ラ・ボルド精神病院を初めて訪れた時には、豊かな自然環境と、何かちょっと違うなという雰囲気を漂わせてはいるけれど、そこにいる人たちの伸び伸びとしたような暮らしに、今まで持っていた精神科病院とは全く違うイメージを持ったとのこと。ここにまた戻って来たいという気がしたという田村さんは、そこに暮らす人たちが本当はどういう人たちなのか、もしかしたら写真で何か撮れるかもしれないと思ったそうです。とはいえ、当初から作品集を作ろうと計画をしていた訳ではないそうです。

自分が病院に滞在する中で、カメラを通して見ている側の自分が、患者さんから見られているなど、周りで起こっている様々なことに気づき始めたそうです。写真を撮りに来ている自分が病院内に異質な存在としている、しかし一般社会の中では彼らのほうが異質と言われるなかで、どこまでが異常でどこまでが自然なのか、田村さんは疑問に思います。撮影する中で、息苦しくなり、一日ラ・ボルト精神病院を離れ、パリへ行ったこともあったそうですが、そこでも改めてこのことを感じたそうです。ますます、自分が生きている社会と、ラ・ボルト精神病院の中で生きている人たちとの差は?ということを考えたそうです。自分の立場は障害や精神の病を捉えると言うよりは、そういうことが誰の中にもあるということを見ていくこと。制度で解決できない何かを解決するなどということではないベクトルで、既成概念を取り払って一人の人間としてどう出会っていくかということを葛藤したとのことです。
田村さんが見つめたその結果は、この作品集の中でとても柔らかに優しく表れています。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。)

次週も引き続き写真家の田村尚子さんのお話です(ブログの後半部分のお話しです)。2月13日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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