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ラジオ番組「Glow 生きることが光になる」公開収録トーク『アール・ブリュットへ その道程と幸福について』後編

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先週に引き続き今週も、昨年12月に大津パルコで公開収録された、作家の田口ランディさんとびわこ成蹊スポーツ大学長の嘉田由紀子さんのトークです。アール・ブリュットに深く魅了され、広い視野から支え続けて来た田口ランディさんと前滋賀県知事でもあられた嘉田さん。後半のトークも盛り上がりました。


当日の会場の様子(カフェ スプーンライフオンワークス/大津パルコサテライト3F)

後半もたくさんの話題が展開される中、アサダパーソナリティーから、アール・ブリュット作品とマーケットについて話が向けられました。アサダパーソナリティーは、アール・ブリュット作品というのは基本的には、マーケットに乗るような乗らないようなところがあり、例えば、宮間英次郎さんは帽子そのものだけでなく宮間さんがそれを被り、町を自転車で疾走するというパフォーマンスも含めて、存在自体が作品でもある。このようにある種、全体性として作品となっているような作者も多く、人そのものと作品がとても融合しているアール・ブリュットとマーケットということは難しい問題だと感じているとのことで、これをトークの切り口としました。

ランディさんは、アンダーグラウンドを引き合いに出しました。アンダーグラウンドといえば寺山修二。寺山修二はアール・ブリュットと言っていいんじゃないかとランディさんは思っているとのこと。ありとあらゆるジャンルの作品を生み出した寺山作品の中で一番おもしろかったのはインスタレーションで、パフォーマンスとも言えない一つの何か儀式めいた行為をみんなと共有しその場で終わりとか、観客席に座った観客が劇の主人公になってしまうというような不思議な仕掛けをつくったりし、それが十分にアートとして成立していた。その後、非常にコンセプチュアルなアートが増え、時代はアンダーグラウンドを忘れてしまったが、アール・ブリュットが出てきたことでまたアンダーグラウンドなライブな世界が戻ってきているなという感じがあり、どんどん流れとして進めれば良いのではないかと思っているとのこと。パフォーマンス型の人間そのものを見せて、お金にならなくてもいいというようなところで、それをみんなが見て喜ぶことで良いのではないかとのこと。

嘉田さんは、ランディさんのライブ感とインスタレーションという言葉にピンと来たものがあったようです。澤田真一さんの制作現場を訪れた時、ライブパフォーマンスのような制作風景を見て、心がぶるぶる震えたそうです。澤田さんの目の輝きと集中力に圧倒もされたとのこと。また澤田さんの作品を焼くところが、呪術空間のような雰囲気を持っていて印象的だったようです。絶えず火をくべて2日2晩。澤田さん本人は、作ったらあとはもう無関心。それを周りの人たちが火をくべたり、窯だししたりして支え、そうやってできた作品は、人と人とのつながりの中で生まれてきているというライブ感、これがある意味でトータルとしてのインスタレーションになっているとのこと。栗東の里山の空間がそのままインスタレーションになる感じで、それはとてもワクワクする体験となるとのこと。

この後も、話題は多岐に渡りましたが、お持ちの広い知識と深い見識に加え、数多くの作者と出会い、制作現場を訪れているお二人の話は、どの話題に及んでも作品はもちろんのこと、作者たちへの敬意と愛情に溢れ、熱い気持ちが伝わってきました。
日曜の午前中、カフェスプーンさんの美味しい紅茶。とてもゆったりしたイメージですが、お二人の濃密なトークの時間はあっと言う間に過ぎてしまったと感じた参加者の方が多かったのではないかと思います。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週は写真家の田村尚子さんをゲストにお迎えします。写真集『ソローニュの森』はフランスのラボルト精神病院に田村さんが滞在し、カメラに収めた記録です。この写真集を軸としてさまざまなお話を伺います。2月6日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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