ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」 4月のゲスト小暮宣雄さん 「地域と呼吸する-アーツの取り組み、そしてアール・ブリュットの可能性」

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4月17日、24日と2週にわたってゲストにお迎えするのは、京都橘大学の小暮宣雄教授です。小暮さんは、芸術と社会の出会いをアレンジすることを意味するアーツマネジメントの研究をされ、芸術が地域社会に果たし得る役割などについて様々な提案をされてきました。また、NO-MAの活動を開館初期から支えてくださり、地域交流プログラムの企画にも携わってこられた視点から、地域社会の中でこれからアール・ブリュットがどのような可能性を発揮できるかお話を伺いました。

前編(4月17日)

小暮宣雄さん(左) アサダパーソナリティ(右)

小暮さんは、旧自治省で地域政策を中心に仕事をされていました。いわゆる「ふるさと創生1億円事業」も担当されたそうです。この補助金は当時3300団体あった地方公共団体において、継続性のあるものを作る「種」であったのですが、小暮さんの関心は、この事業等から生まれた文化施設という目に見えるものではなく、その中の見えない部分、アーツマネジメント(小暮さんは「芸術営」と翻訳されています)にあったと言います。館を単に運営するだけでなく、芸術と社会の出会いをマネジメントすることを地方がやっていくということについて考え、実践してこられました。


めくるめく紙芝居の実践もその一つ。紙芝居という戦前から続いているものをアーティストや学生だけでなく、障害のある人などいろんな人が参加することのできるこのアーツプロジェクトは、山科でのワークショップがベースとなっていますが、他の地での公演もしています。滋賀県守山市の東光寺のイベントで公演した時には、障害のある人に付き添ってきたヘルパーさんまでもが一緒に参加するという、このプロジェクトならではの自在な展開が起こっています。

NO-MAの地域交流事業として地域の子どもたちを対象とした企画もいくつか手がけてくださっていますが、NO-MAという拠点があった上で、地域に出ていくということがこのプロジェクトの面白さだと言います。地域に出て行ってプログラムを展開する中で、休憩時間にふと小耳にはさんだことをプログラムにその場で反映させていくということ楽しさがあったとのことですが、このように予定していないことを楽しめるという状況を作っていくのもアーツマネジャーの役割であると言います。NO-MAの活動は、社会福祉法人が運営しているということや、障害ということが通底したテーマとしてあるなど通常の美術館とは違う背景をもちますが、NO-MAが発信を続けるアール・ブリュットと地域との出会いについて前編の最後にお聞きしました。
アール・ブリュットと地域ということを聞いた時に、それは真逆というイメージを持つと小暮さんは言います。アール・ブリュットは地域から排除されて作られてきたという歴史的背景があるような気がするからと。作る過程で地域との間に起きてきたであろう「何か」の痕跡を見つけていくことが、必要になると思われるとのこと。地域から独立して、ある意味孤独でもあったものを受け入れることは、実は地域の中で何かが変わるとても重要なきっかけになるかもしれないと思うとのことでした。
アール・ブリュットと地域ということについては、後編でさらに掘り下げてお話を伺います。

後編(4月24日)

後編では、今年の2月~3月にかけてNO-MAが開催した「アール・ブリュット☆アート☆日本2」展の感想を伺いながら、アール・ブリュットと地域について、話が進みました。
この展覧会では、NO-MAと周辺の町屋等の複数会場のほか、町なかショーウィンドウ展示として、会場間をつなぐ通りに面した商店のショーウィンドウ等にも作品が展示されました。ショーウィンドウ展示について小暮さんは、普段見過ごす街角に目を向けられるという面白さがあったと言います。スミ利文具店さんでは、表に面したところでなく、店内に作品を展示させていただいたのですが、作品を見るためだけに文具店に入るというドキドキ感もあったと言います。
また、各会場を支えていたボランティアスタッフの一人、母親の誘いで参加したという高校を卒業したばかりの女子と会話をしたエピソードを話してくださいました。その子は芸術に興味はないし、これからもないだろうと言っていたとのことですが、そういったボランティアに対してはアール・ブリュットの理解者になれというのではなく、それこそ「ブリュット」のままで良いのではないかと言います。せっかくペルソナがない状態でいられる場であるのだからと。あの展覧会のボランティアスタッフのみなさんに漂う雰囲気の理由を教えてもらった気がしました。
限界芸術はプロではない人たちによる日常の中の所作であり、展覧会ボランティアスタッフとの会話は、限界芸術劇とも言えるとの論が展開されました。

アドルフ・ヴェルフリの展示について話が及び、会場となったNO-MAが彼の作品のためにある場所になっていたとの印象を持たれたそうです。地域の中にあるNO-MAの中において、闇の中に入っていくような展示になっており、自分たちのいる「地域」と地続きにつながっているというのではない、根源的な孤独というものに対峙して踏み込んでいく感じが面白かったとのこと。

この後、話題となった、「アーツマネジメントに求められる動機」は、小暮さん独自の分類でありとても興味深いものでしたので、ぜひラジオで確認いただきたいと思います。詳しく知りたい方は、小暮さんの著書『アーツマネジメント学-芸術の営みを支える理論と実践的展開-』(水曜社)にも収録されていますので、こちらもぜひお読みください。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週は、映画作家、プロデューサーの代島治彦さんをお招きします。アール・ブリュット作者を映像で記録し続けてきた代島さんに、なぜ記録し続けているのか、どんな視点で記録しているのか伺います。5月1日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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