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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」8月のゲスト毎日新聞論説委員野沢和弘さん、社会福祉法人グロー北岡賢剛理事長 「アール・ブリュットと日本の未来について語り合う」前編

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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」は、おかげさまで本日の放送で、100回目を迎えます。
毎回、様々な分野の方をゲストにお迎えし、また制作の現場や展覧会場からの現地リポートを通して、障害のある人たちをはじめ、自身の内から湧き上がる衝動のままに表現した芸術「アール・ブリュット」について語り、人の営みの深さや広がりについて考えてまいりました。
リスナーの皆様の支えとアール・ブリュットに関心を持ってくださる皆様の応援は、大きな力となっています。これからも応援をよろしくお願いいたします。

今日は、毎日新聞論説委員の野沢和弘さんと社会福祉法人グローの北岡賢剛理事長に、アール・ブリュットについて語っていただきます。
題して、「アール・ブリュットと日本の未来について語り合う」です。


野沢和弘さん(左) アサダパーソナリティー(中央奥) 北岡理事長(右)

お二人のそもそもの障害福祉との関わりから、話はスタートしました。野沢さんは、ご子息が重度の知的障害と自閉症というユニークな障害を持っているということがそもそものきっかけとのことです。当時は今ほどサービスもまだあまりない時代だったそうです。本格的に取り組むきっかけになったのは、1996年の虐待事件だったそうです。
北岡理事長は、仕事として選んだことに始まります。就職した当初は、障害者の暮らしはまだまだ入所施設中心。障害のある人たちが地域で暮らすためにはと考え、今日まで実践してきました。
二人の出会いは、かなり昔になります。野沢さんが親の会で活動していた当時、北岡理事長は平成桃太郎の会という障害のある人たちの地域での暮らしを考える活動をしていました。野沢さんは、平成桃太郎の会が脚光を浴びて人が集まるということを聞いていたところ、たまたまある集まりで出会ったのがきっかけとのこと。一方、北岡理事長は以前から野沢さんのファンだったそうで、福祉に軸足を置きながら様々な角度から書かれる記事にいつも感心していたそうです。

野沢さんは北岡理事長が「制度よりアートが好きだ」と言っていたのが印象深かったそうですが、野沢さんが最初に衝撃を受けたアール・ブリュット作品は、昔の映画のポスターを再現している宮城の木伏大助さんだそうです。ヨーロッパで展覧会があった時、野沢さんもツアーに参加されたそうですが、木伏さんも参加されていて、生の本人もまた魅力的だったとのこと。
「制度よりアート」と言った北岡理事長は、制度はもちろん大事であり、さまざまなサービスは必要ということは大前提だが、どこまでどれくらいあってもゴールということはない。そんな中、私たちにはない力、ある意味「欠損していることから出る力」に気持ちを寄せていく、表現をシンプルに面白がることも必要なのではないかと考えるようになったと言います。彼らはサービスを受けるためだけに生まれてきたのではなく、作品というツールを使って、彼らが人々に感動を与えうるということに着目する必要があるのではないかと。

アール・ブリュットについて、野沢さんは言葉を使うことを生業としていますが、言葉で書いていると、本当のことから離れていく感覚を覚えると言います。自身のご子息についても、言葉は多くないが、それ以上に生きてきた過程が背景にあることはわかる。それを言葉で表そうとしても、できるのはごくごく一部。背景にあるものを表すにはどうしたらよいかと考えている中、アールブリュット作品をみて、「こういうことだったのか!」と思わされたとのことです。

言葉に置き換える難しさについては北岡理事長も感じていたとのことで、作品の魅力を上手に言葉に置き換えて伝えていきたいと思っても、力が及んでいない現状を感じてきたNO-MAの10年でもあったとのことです。一方で、福祉とはジャンルが違う人たちの言葉でアール・ブリュットが語られるようになった10年でもあり、ジャーナリスト、美術界、精神科医等、それぞれの言葉で表される面白さも感じてきたと言います。
野沢さんは、ジャーナリズムはアール・ブリュットにまだついていけてないと感じているそうです。新聞もそうだが、意味付け、評価がまだできておらず、趣味や余暇にしか見られていないと感じているそうです。

どちらかが話せば、どちらかがさらに話を展開する、心地よいラリーは次週も続きます。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週も引き続き、「アール・ブリュットと日本の未来について語り合う」後編をお送りします。9月4日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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