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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」6月第3週「“障害”観を編みなおす実践 〜見沼田んぼ福祉農園をきっかけに〜」猪瀬浩平さん 前編

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猪瀬さんは明治学院大学でボランティア学の教鞭をとりながら、埼玉県さいたま市の見沼田んぼをフィールドに、「福祉」と「環境」活動をかけあわせた取り組みである見沼田んぼ福祉農園を継続的に展開されています。障害のある人も、シニア世代も、大学生も、地元の人も、よそ者も、様々な立場の人がこの見沼田んぼ福祉農園での農業を通じて、新しいコミュニティを生み出している、そんなプロジェクトのお話をきっかけに、福祉現場における表現活動の可能性など、幅広くお話いただきます。


 アサダワタルパーソナリティー(左) 猪瀬浩平さん(右)

猪瀬さんは、大学でボランティア学を教えています。人間が共同作業したりお祭りを維持したりということがありますが、今はいかに利益をあげるかが「働く」ということになっているけれど、より昔の「働く」ということを考えると、ボランティアということは当たり前のことなのだそうです。このことから大学での授業も、農村の話、政治の話もするそうなのですが、それでは「ボランティア学ではない」と言われていたこともあったとのこと。
また、ボランティアの偽善論があるが「偽善であること」が問われなければならないのはなぜ?ということも問うているのだそうです。今は、働くというときにお金を稼ぐということを一番の目的になっていますが、このように「この目的のため」ということが明確なのは歴史を遡ってみると、ごく限られた時代なのだそうです。


見沼たんぼは、東京から25㎞ほどの距離にある緑地地帯で、1260ヘクタール(東京ドーム270倍)の広さを誇ります。戦後ほどなくしてあった台風で、この見沼たんぼが遊水池として役立つということがわかり、開拓が抑制されるということが決められた土地だそうです。80年代、見沼たんぼ周辺部の開拓が始まったのだそうですが、行政から田んぼを守ろうという動きが、都市部の住民の間で起こったそうです。守れと言っているのは都市部の人、守っている人は農家の人……周りから「守れ」というのでなく、守る主体となるべきと考えられ、障害のある人も都市の真ん中でコミュニティから切り離されずに土地の保全者として、役割を持てないかということで86年からの活動と県への要望をし、99年に県にも認められ開園したのが、見沼田んぼ福祉農園です。
知的障害のある人たちと彼らを支える支援者が月~金で畑をしたり、野菜を売ったり加工品を作ったりしている。週一でくる団体もあるなど見沼たんぼでの活動は、見沼田んぼ福祉農園の他にもさまざまとのこと。猪瀬さんは2001年に大学卒業してから見沼田んぼ福祉農園に関わるようになります。代表者であるお父様に言われて、最初は半ば強制的に働かされていたと振り返ります。最近では農福連携が盛んに言われていますが、以前から取り組んでいた見沼田んぼ福祉農園では、「福祉」より「農園」のほうがインパクト大とのことで、「農業しようと思って来たら、そこにたまたま障害のある人もいた」という感じでいろいろな立場の方が入ってきたそうです。
見沼田んぼ福祉農園の中の一番の「ボランティア」は平日来ている障害のある人たち。農園の維持管理をしている障害のある人たちに支援してもらいながら、食べ物を作ることに還元しているということを、この地に立つ時にまずは考えないといけないと猪瀬さんは言います。(つづく)

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)

次週も、猪瀬浩平さんをゲストにお迎えします。6月24日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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