ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

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ラジオ番組「Glow生きることが光になる」8月第2週「アール・ブリュットを巡る国際交流 〜日本と欧州の場合〜」前編

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今週は、社会福祉法人グロー(GLOW)法人本部企画事業部次長兼アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター所長の齋藤誠一がゲストです。齋藤次長は、2006年からこの十年、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの事業運営を担当し、これまで数々の海外、とりわけヨーロッパのアール・ブリュットシーンとの交流を深めてきました。この6月に齋藤次長がイギリス、フランス、スイス、オーストリアの様々なアール・ブリュットにまつわる美術館やアトリエを訪ねたレポートをお届けします。


齋藤誠一次長(左) アサダワタルパーソナリティー(右)

今回の訪問は来年2月のアール・ブリュット国際フォーラムに招くゲストの調整のためでしたが、それぞれが過去にNO-MAと企画連携した館の人であったり、アール・ブリュットに詳しい編集者であったので、日本のアール・ブリュットに関する評価や展示後の反響や影響、そしてアール・ブリュットの今日的定義等についてインタビューしてきたものです。インタビューしたのは次の7人です。

モニカ・ヤークフェルト氏(ラガーハウスミュージアム館長/スイス)
シャミタ・シャーマチャージャ氏(ウェルカムコレクションキュレーター/イギリス)
ジョン・メーゼル(ロービジョン代表、編集長/イギリス)
マルティーヌ・リュザルディ(アル・サン・ピエール館長/フランス)
サラ・ロンバルディ(アール・ブリュット・コレクション館長/スイス)
マリオ・デル・クルト(写真家、アール・ブリュット・コレクション理事/スイス)
ヨハン・ハイラッハー(グギング代表、精神科医/オーストリア)

アール・ブリュットの定義ということについて、全員に共通していたのは、デュビュッフェが提唱してから60年以上経っていることを考えても、今日的解釈に置き換えられて然るべきものということだったそうです。そもそも「影響受けずに生きていく」ことが難しいのだから、そういった意味でも幅広に捉えるべきでないかと。
色々なところで話題にされる、「アール・ブリュットと現代アートとの境界」ということについては、シャーマチャージャ氏の見解が特に印象的だったそうです。シャーマチャージャ氏は以前テートモダンのキュレーターでした。彼女が言うには、「コンテンポラリーアートはコンセプチャル、アール・ブリュットはオブジェクシャルとはっきり分けられる」ということです。他の人たちは、どこかで混ざるのではないかと言っていたそうで、ヤークフェルト氏は、「コアなアール・ブリュットはヴェルフリやアロイーズだが、各地で紹介されている中には、現代アートだ、いやアール・ブリュットだと議論されるものもあり、明確に線が引けなくて当たり前じゃないかと思う」と言っていたとのこと。

では分けられるものではないことを前提としながら、何がアール・ブリュットとしての基準になるのかということを聞いてみたところ、デュビュッフェのコレクションを収蔵しているアール・ブリュット・コレクションのロンバルディ館長は、「2008年当時の館長であるペリー氏が言った三つのワード(秘密、沈黙、孤独)があるが、今までたくさんアール・ブリュットをみてきた自分自身がアール・ブリュットと思うかどうかという感覚が一番であると断言していたそうです。
他の人に共通していた言葉は、ユニークであるということ。そして今まで出会ったことのない表現、様態であるものにビビッとくるということだったそうで、たくさんインタビューしてきたことのごく一部を紹介してもらいましたが、共通していたり、独自の見解があったりすることがわかります。次週も、これらの他に聞いて来た特徴的な話を抽出してお伝えします。

放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週火曜日に更新されます)

次週も、引き続き社会福祉法人グローの齋藤誠一次長のヨーロッパ報告です。8月19日(金)21:30~21:55 KBS京都ラジオです。

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