2018年2月3日(土)~3月18日(日)
2万年前。旧石器時代の人々が描いた洞窟壁画は動いていました。真っ暗な洞窟の中、描かれた動物たちの絵は、獣脂の炎(描かれた動物たちを屠って得た炎=動物たちの魂)のゆらめきを得て、蘇り、再び生き生きと動き出したにちがいありません。少なくとも洞窟の壁を見上げる人々は、そこにもう一つの現実=動く画を幻視したことでしょう。そう、人類が最初に生み出した芸術とは、絵ではなく「映画」だったのです。
時代が変わって19世紀末、映像撮影技術が登場しました。この最新技術は、ただリアルに絵が動き出す驚きをもたらしただけでなく、肉眼では捉えられない世界の様相を可視化することに成功し、人間の目を超えて、正確無比に記録し、自由自在に空間と時間を摑まえるキャメラの目の存在を知らしめました。そしてキャメラは、人類が長い間忘れていた最も始源の芸術「映画」への懐かしい回帰をついに可能にしたのです。このように、動く画は原始的な人類の想像力の中心に存在しつつ、さらに人智を超える力としても存在してきました。
本展は「動く壁画」というテーマから、アール・ブリュットを捉えなおす試みです。4Kキャメラで超高精細に撮影された作品の映像により、新たなアール・ブリュットの作品を巡る視覚体験を生み出すとともに、作品そのものに内在する「動き」を発見することが本展の趣旨です。驚きの「動く壁画」、体感してください!【文 本展キュレーター:キャメラマン 辻 智彦】
会場 | ボーダレス・アートミュージアムNO-MA |
---|---|
開館時間 | 11:00~17:00 |
休館日 | 月曜休館(祝祭日の場合は翌日休館) |
観覧料 | 一般300円(250円) 高大生250円(200円) 中学生以下無料 ※障害のある方と付添者1名無料 ※( )内は20名以上の団体料金 |
展覧会オープニングに併せ、映像インスタレーションで社会の諸相を独創的に描く現代美術のトップランナー・束芋と、本展キュレーターで、映像分野で活動する辻智彦によるトークを行います。「美術」と「映像」、両分野のスペシャリストによる分析で「動く壁画」の魅力を紐
解きます。
日 時:2018年2月3日(土)14:30-16:00
出 演:束芋(現代美術家)、辻智彦(本展キュレーター・キャメラマン)
会 場:酒游館(滋賀県近江八幡市仲屋町中6)
定 員:50名(要予約)
参加費:参加は無料ですが、本展の観覧券(半券)が必要です。
ルーペ(虫眼鏡)を通して、アール・ブリュットの作品に、文字通り「ぐっ」と迫ります。作品を拡大して見つめなおすことで、細部に潜む「動き」を探ってみましょう。ファシリテーター:辻智彦(本展キュレーター・キャメラマン)
日 時:2018年3月3日(土)14:30-16:00
会 場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
定 員:12名(要予約)
参加費:参加は無料ですが、本展の観覧券(半券)が必要です。