ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

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展覧会情報

これまでの展覧会

縫う人 針仕事の豊かな時間

2005年4月28日(木)~6月12日(日)

 2004年6月にオープンして、2回目を迎えるNO-MA企画展では、「縫う」という行為から生まれた様々な表現の形を紹介します。
 「縫う」ことは大変古い歴史をもっており、世界各地で様々な技法や様式を持ちながら続けられています。しかしその一方、「縫う」ことの行為は針と糸と布などで行う意味とてもシンプルな繰り返しの行為であり、その連続性が生み出す一定のリズムや流れは、針を刺す人の持つ固有の時間でもあるのです。一針一針刺していくことで生まれてくる様々な形。そこに流れる長い豊かな時間。心地よい陶酔的な時間と、またその行為に込められてゆく厚みのある思い。
 世の中が合理的に変化しようとも「縫い」という行為は、人間が本来持っている触覚的な感性や揺るがぬ時間の確かさを、具体的なものとして感じさせてくれます。
 知的障害者の「縫い」はそのこととをとても直裁に思い起こさせてくれます。また、中央アジアの民のまさに生きることと直結した、縫うことへの祈りにも近い行為は、製作にかけた膨大な時間とともに縫いの本質そのものであります。そして、現代アーティストたちはその本質を直感的に嗅ぎ取り、また違った形で「縫い」の持つ豊かな魅力をあぶり出して見せてくれます。

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会場ボーダレス・アートギャラリーNO-MA
開館時間10:00~17:00
休館日5月2日を除く月曜日と5月6日(金)は休館
観覧料200円
主催:ボーダレス・アートギャラリーNO-MA(社会福祉法人滋賀県社会福祉事業団)
後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
協賛:タキヤ株式会社、ERCO 株式会社エルコ・トートー、株式会社キルトプランニングオフィス、株式会社便利堂、ヤマトロジスティック株式会社、ヤンマーエネルギーシステム株式会社
協力:中山手芸研究所、八幡学区第三区自治会

アートディレクター:はたよしこ

展覧会風景

  展覧会風景 展覧会風景

  展覧会風景 展覧会風景

関連イベント

「ああ私も縫ってみたい…」と感じた方は、その場で「縫い」をやっていただける布や糸を用意しております。

期間中毎日「連歌」の様に観客の皆さんが自由に「連縫い」を続け、やがてその刺繍布でギャラリーNO-MAの座布団を仕立てます。(期間中ににできあがった連続刺繍作品は、ギャラリーの座布団になりました。2012年現在も使用中!!)

伊藤存さんとあそぶ刺繍会

日時:5月15日(日)午後1時~4時ごろ(受付12時30分~)
会場:ギャラリーNO-MA
定員:15人
参加費:800円(観覧料と糸などの材料費込み・お茶とお菓子付き)刺繍したい布や糸類は、お好みがあればご持参ください。存さんとおしゃべりしながら、のんびりと刺繍の時間をを楽しんでみませんか。即興で作品展示もしてみたり。

 

おばあちゃんに教わる縫いもの作り

日時:5月28日(土)午後1時30分~4時ごろ(受付1時~)
会場:第三区自治会館 近江八幡市博労町中(ギャラリーNO-MAより徒歩3分)
定員:15人
参加費:500円/小学生以下は無料(観覧料と材料費込み・お茶とお菓子付き)
ギャラリーNO-MAの近隣にお住まいのおばあちゃん達のご指導で、布の小物を作ってみませんか。材料はご用意しています。優しくなつかしい町近江八幡にゆっくり浸ってみませんか。

出展作家

伊藤存 Ito Zon

草の骨(2005年)

1971年生まれ。京都市立芸術大学美術学部卒。横浜トリエンナーレ2001の出展で一躍注目された。キャンパスに縫いとることで描き出された絵はユーモラスな味わいと不思議な浮遊感がある。今展出品の新作も制作される。

上前智祐 Uemae Chiyu

縫(1980年)

1920年生まれ。独学で美術を学び具体美術協会を中心に活躍。少年時代の奉公仕事で手がけた縫いの仕事を原点に、70~80年代にかけて旺盛に制作された「縫い」作品は、圧倒的な時間の集積の魅力を静かな迫力で見せてくれる。

坂元郁代

直線のための刺繍(1994~1995年)

1953年生まれ。鹿児島市にある知的障害者施設菖蒲学園で制作している。様々な色の糸が次々と重なり合い、縫うこと自体の魅力にとりつかれたような制作は、自然に「縫いのかたまり」としての立体になってゆきエネルギーの原型を見せる。

野間口桂介

佳介のシャツ(2002年)

1976生まれ。鹿児島市にある知的障害者施設菖蒲学園で制作している。全体に縫い模様がぎっしりと刺されたシャツは変形して着られることを拒むかのようだ。オブジェとしか呼びようのない美しいシャツは半年かけてゆっくりと制作される。

萩野トヨ

水と魚と花(1990年代前半)

1938年生まれ。滋賀県にある知的障害者施設あざみ寮で制作している。心のイメージを糸で描くその作品はいつからか「糸絵」と呼ばれている。おおらかで大胆な形は、見る者に様々な物を連想させる包容力に溢れている。

山本純子

触って鑑賞する小作品

1973年生まれ。自宅で過ごす大半の時間をフェルトのアップリケ制作に費やしていた。日常目にする物を次々と描く様にアップリケに刺す。その独特な形は思いもかけぬ発想から出現しており不思議で楽しい。作品に触って彼女の世界を体験できる。

中央アジアの人々の手刺繍(中山手芸研究所所蔵作品)

婚礼用刺繍布スザニ/丸模様(20世紀初期)

中央アジアの手刺繍は、過酷な自然環境や民族の伝統的哲学を背景に生まれた、必然的な縫いである。大胆かつユーモラスな模様は、一つ一つに意味があり願いがある。愛する者の幸せを一針に託した縫いものは、生きることの大切な役割でもあった。

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