Sep 23 |
魲 万里絵展(るんびにい美術館) ギャラリートークを聴いて |
全国的にいいお天気に恵まれた三連休にNO-MAへお越しくださった皆さま、ありがとうございます。
22日(日)、岩手県のるんびにい美術館「魲万里絵 展」で開催されたギャラリートークを聴いてきました。
このイベントは三部構成となっており、
第一部 作者によるトーク
話し手 魲万里絵さん、聞き手 田端一恵(NO-MA)
第二部 アール•ブリュットの世界
講師 盛本直美さん(岩手県立美術館専門学芸員)
第三部 魲万里絵の作品が伝えるもの
講師 板垣崇志さん(るんびにい美術館アートディレクター)
という内容で作品世界を新しい視点でみることになりました。
特に作者によるトークでは、魲さんの制作の様子が幼い頃の思い出や日常のエピソードにも触れられながら語られました。
制作は家の中だけでなく、旅路で鈍行列車に揺られながら、フェリーで潮風にあたりながら、また琵琶湖半でも手の平サイズのスケッチブックを開くそうです。
魲ファンの滋賀県民にとって、嬉しいエピソードです。
他にも、はさみのモチーフと子ども時代の思い出との関係について、素材においては演題幕や設計図の青焼きに描いた理由、タイトル決定秘話についても語られ、作者の人となりを少し垣間見れるようでした。
そうしたことで親しみを感じたということもありますが、生活の中の一部分として、生理機能の一つとして、魲さんの作品が生まれているのだと感じる貴重な機会でした。
盛本さんは、岩手県立美術館を昨年巡回したアール•ブリュット•ジャポネ展を担当、2011年に開催された「’70、’80生まれの美術家たち IMAここで」展、「私たちがIMA在ること-7人の現代美術家たち」展で、アール•ブリュットの作家を選出された方で、日本の(また岩手の)アール•ブリュットを取り巻く環境や可能性について語られました。
最後に、展覧会企画者である板垣さんから、魲作品の魅力について、作品と対峙した時に受ける印象や感覚として「畏れ」があるが、それだけでは人に忘れられない作品にはならないと、ヴィレンドルフのビーナスのプリミティブな意匠性、浮世絵の技法などを引き合いに紐解かれました。