

NO-MAコレクションPart 4「色、いろ、イロ」
第Ⅰ期 2025年5月24日(土)~7月21日(月・祝)/ 第Ⅱ期 7月26日(土)~9月28日(日)
NO-MAが収蔵する3万点を超える作品の中から、新たに収蔵された2名を含む、6名の作家の作品を2期にわたって展示します。
光の三原色である赤・緑・青が混ざり合い、つくりだす色は無数にあります。
目の前に広がる光景を作品に収めようとしたとき、どの色の絵具を混ぜるか、カラーペンを手にするかは、人それぞれ違うことでしょう。
ときには、黒一色で描かれた作品から、豊かな色彩を感じることもあります。
本展では、色のもつ力に焦点を当てて、作品の豊かな表現を紹介します。
色彩豊かな5名の作品を紹介する第Ⅰ期。第Ⅱ期では、単色で表現された作品を紹介します。
4名の作家は、どちらの会期でも展示し、それぞれの表現の魅力に迫ります。
作者が表現しようとした世界を、色をテーマにお楽しみください。
展覧会情報
会場:ボーダレス・アートミュージアムNO- MA 滋賀県近江八幡市永原町上16(旧野間邸)
開館時間:11:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
展示替え期間:7月22日(火)~7月25日(金)
観覧料:一般300円(250円) 高大生250円(200円)
※中学生以下無料、障害のある方と付添者1名無料
※( )内は20名以上の団体料金
主催:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、社会福祉法人グロー(GLOW)~生きることが光になる~
後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
協力:近江八幡観光物産協会、しみんふくし滋賀、マエダクリーニング仲屋店
出展者
-
岩崎 司Iwasaki Tsukasa
岩崎さんは、55歳の時に病気で入院しました。63歳になってからベッドの上で絵をかきはじめ、78歳で亡くなるまでかきつづけました。たくさんかいたので、ベッドのまわりは絵でいっぱいになりました。ただ、病院で手に入る紙は薄いので、しばらくすると絵が丸まってしまいます。そのため、広告のチラシを巻いて作った筒状のものを、絵の裏やまわりにはりつけました。若い時から短歌をつくることが好きだったので、絵に言葉をくみあわせたり、これまでに読んだ宗教や文学の本から思いついたイメージをかくこともありました。
岩崎司 無題 制作年不詳 -
木本 博俊Kimoto Hirotoshi
木本さんは、高校を卒業してから病気になり、病院で、ずっと絵をかいてきました。30年以上、病院でくらす中で、1000枚を超える絵をかきました。まっすぐな線や、まがった線、丸や三角形をつなげたり、ふやしながらかかれた絵は、ふしぎな生き物のようにもみえます。絵は、便せんに、ペンや色鉛筆、ボールペンなどを使ってかかれています。絵にはひとつひとつに番号がつけられ、いくつかの束にまとめて、ふくろに入れて大切に保管されていました。
タイトル不詳 2014 -
ドゥイ・プトロDwi Putro
ドゥイさんは、インドネシアで、妹の家に一緒に住み、絵をかいています。庭に大きな壁をたて、絵をかくための布をはり、絵具を使ってかきます。紙にクレヨン、ペン、鉛筆などでかくこともあります。はじめは家の壁に「ワヤン」という、インドネシアの影絵の人形劇にでてくる人形をかきました。それはドゥイさんが小さいころに、家の近くでひらかれたワヤンをみることができなかったことがきっかけだったそうです。それから、ワヤンの絵のほかにも、動物や植物などの絵をかきつづけ、今では数えきれないほどの量になっています。
タイトル不詳 2015 -
橋脇 健一Hashiwaki Kenichi (第Ⅱ期のみ)
橋脇さんは、いつもきまった時間にきまった場所で、正座をして、手でちぎった四角い紙に、鉛筆で絵をかきました。絵は、月に一、二度、施設から帰宅する土曜と日曜にかきました。時計をみながら、1分に1枚のペースでかきました。それを20年以上も続けたので、たくさんの絵があります。お父さんが仕事をしていた自宅の机のちかくに座ってかきました。そこから見える、目のまえの壁に貼られた板、窓、壁にかかっている時計などをかきました。大好きだったお父さんが生きていたときは、お父さんが長年自宅で開いていたソロバン教室で、お父さんのそばで絵をかいていたそうです。
無題 1978年頃~2001年頃 -
平田 猛Hirata Takeshi (第Ⅰ期のみ)
平田さんは、病院に長くいましたが、30歳をすぎてから、はじめて絵をかいたそうです。今残されている絵は、亡くなるまでの約5年のあいだにかかれたものです。その短いあいだでも、100冊以上のスケッチブックがあります。動物や食べ物、薬の錠剤、乗り物、病室の窓から見た外の景色などの絵をかきました。80歳をすぎ、手術のために入院してからは、人間のからだをたくさんかくようになりました。絵には言葉が添えられています。なかには、テレビは「テレピ」、豚を「プタ」と書くなど、書き方が間違っているようにみえるところもあります。でも、他の絵でも同じ書き方をしているので、わざとそう書いたのかもしれません。
無題 2017
画像提供:art space co-jin「アートと障害のアーカイブ・京都」 -
三橋 精樹Mitsuhashi Seiki
三橋さんは、鉛筆やクレヨンを使って絵をかきました。鉛筆でかいた絵は、かたちをかいてからぬりつぶすので、何度も強くぬりかさねた部分は、ねずみ色に光ってみえます。三橋さんは、何をかいたのかを、絵の裏や絵の中に、カタカナ書きの文章でくわしく説明しています。その文章を読むと、三橋さんがこれまでにみた景色やテレビの映像など、昔のことを思いだして、自分の記憶をもとにかいたことがわかります。今確認できているだけでも、数百枚もの絵があります。
無題 2006