今週から2週にわたって、NPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所(通称:ダイバージョン、以下、ダイバージョンと記す)の井尻貴子さんと三宅博子さんをゲストにお招きします。お二人はこれまで研究者や実践者としての立場から、多様な背景をもつ人々の表現活動に関わってこられました。今後は障害のある人やセクシュアル・マイノリティなどの表現活動に携わった経験をもとに、「多様性」と「境界」に関する諸問題に対して、「対話」と「表現」を通じ、新たな「迂回路」(diversion)を作ることを彼女たちがこれから目指しておられます。
彼女たちはどのような現場に赴き、そこからどのような具体的な対話の場づくりを行 …
先週は、NO-MAの作品調査についての概要を、安藤主任、山田自立生活支援員それぞれの
アール・ブリュットとの出会いや、印象に残っている国内調査について話をさせていただきました。
今週は、タイでの調査についてです。
山田創さん(左)安藤恵多さん(右)
タイで、どんなところに調査に行かせてもらっているかというと、現地の協力者の方の紹介で、障害のある作者の自宅に行ったり、造形活動等の取り組みをしていることがウェブサイトで紹介されている福祉施設と連絡し、その施設にお邪魔したりしています。
タイに調査に行くことで感じることをそれぞれに聞くと、安藤主任は、日本との福祉の仕組みの …
今回は、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAを運営する社会福祉法人グロー法人本部企画事業部の安藤恵多主任(以下、「安藤さん」)と山田創自立生活支援員(以下、「山田さん」)がゲストです。NO-MAは、これまで日本全国の福祉施設や精神科病院、個人宅やアトリエなど回りながら、アール・ブリュット作品とその作り手の全国調査を手掛けてきました。現在、各地でアール・ブリュットにまつわる展覧会が数多く開催されていますが、やはり作り手や作品の存在があっての展覧会。それには、常に新たなアール・ブリュットとの出会いの機会づくりが欠かせません。その調査の動きは、現在アジアにまで渡り、韓国や台湾、マレーシアやタイ …
今日は、大手損害保険会社勤務のかたわら「男の宝塚」評論家として、金融誌のコラム連載や地元の市民大学での講演などでご活躍の今井英雄さんをお招きします。今井さんはまた、アール・ブリュットのファンとしてこれまで様々な展覧会やアール・ブリュットにまつわる企画に参加されてきました。そんな今井さんに、これまでにもこれからもない切り口、「アール・ブリュットと宝塚歌劇の共通点」をテーマに語っていただきます。
今井英雄さん(前)アサダパーソナリティー(奥)
今井さんとアール・ブリュットとの出会いは、会社関連の公益財団に所属していた時でした。その財団は、障害福祉の助成もしており、パリ展(「ア …
先週に引き続き、社会福祉法人グロー(GLOW)法人本部企画事業部齋藤誠一次長からヨーロッパのアール・ブリュット関係者を訪ねたレポートをお届けします。
齋藤誠一次長
今回のヨーロッパ訪問において印象的だったのが、皆、一様に歓迎ムードだったことだそうです。ヤークフェルト氏(ラガーハウスミュージアム館長)が自分たちに会うためにわざわざスイスからロンドンまで来てくれたことや、パリのマルティーヌ館長が約束時間よりだいぶ前倒しで面会してくれたこと(パリ市の企画課長まで務めた人が前倒しでOKしてくれるのは余程のことだそう)等があり、これらのことは、今後の日本とのコラボにも期待しているという表 …
今週は、社会福祉法人グロー(GLOW)法人本部企画事業部次長兼アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター所長の齋藤誠一がゲストです。齋藤次長は、2006年からこの十年、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの事業運営を担当し、これまで数々の海外、とりわけヨーロッパのアール・ブリュットシーンとの交流を深めてきました。この6月に齋藤次長がイギリス、フランス、スイス、オーストリアの様々なアール・ブリュットにまつわる美術館やアトリエを訪ねたレポートをお届けします。
齋藤誠一次長(左) アサダワタルパーソナリティー(右)
今回の訪問は来年2月のアール・ブリュット国際 …
今週も滋賀県立大学人間文化学部教授の細馬宏通さんをゲストにお招きし、お話しをうかがいました。
細馬さんの著書『介護するからだ』(医学書院)を読んでいると、介護現場やアール・ブリュット、音楽が生まれる場が地続きのように並列で書かれていることに気づきます。細馬さんの中では芸術作品をみることと、介護現場でみることがどうつながっていったのでしょうか。細馬さんの見方や興味の向き方は次のようなものだそうです。
「アール・ブリュットを語る時に、今までみんな作品で語ってきた。出来上がったものが素晴らしいと。しかし、そこだけ見ているといつまで経ってもすごい才能を持った人が、孤独に耐えながら閉じこもって、 …
今週も滋賀県立大学人間文化学部教授の細馬宏通さんをゲストにお招きします。介護現場での、利用者の行動や身体動作が、介護スタッフ等周囲の人との関わり合いから引き出されていることが紐解かれている『介護するからだ』(医学書院)ですが、障害のある人たちと共同で行う即興演奏に参加された場面や、アール・ブリュットの創作現場なども同じような並びで取り上げられているのも特徴です。
細馬宏通さん
そもそも『介護するからだ』というタイトルはどのようにして付けられたのでしょう?当初は「介護のからだ」という短いタイトルが考えられていたそうです。「それでも良かったのだけど…」と前置きしながら細馬さんが話し …
今週から3週にわたって、滋賀県立大学人間文化学部教授の細馬宏通さんをゲストにお招きします。細馬さんは、滋賀県立大学でコミュニケーション論を担当されながら、2006年から介護現場での観察研究を始め、利用者と介護スタッフの会話や関わりからあらわれる身体動作を観察されてきました。
そして、障害のある人たちと共同で行う即興演奏に参加されたり、またアール・ブリュットの創作現場の造形活動現場に足を運ばれるなど、広い意味での「福祉」現場で発生しているコミュニケーションに独自のまなざしを向けておられます。
今回は、今年の6月に出版された『介護するからだ』(医学書院)で紹介されているエピソードを基に、細馬さ …
先週に引き続き、魲万里絵展オープニングトークの様子をお届けします。
魲万里絵さん(左)
作品がいろいろなところで紹介されることに伴い、さまざまな解釈が付けられ、中には本人の意とは離れたものもあったりします。それを目の当たりにした時に、魲さんはどう思うのかということを聞いてみました。何とも答えにくい質問にも関わらず、解釈者への気遣いとシニカルさがミックスされた、魲さんならではの答えに会場からも笑いが起きました。
タイトルの付け方に話は戻り、直接的に影響を受けて付けたタイトルに「デキザルヲ」という作品があります。とある作者の短歌集にあった歌から取られているのですが、その言葉 …