去る8月7日(日)、開催中の展覧会「魲万里絵 遠くて近い私の風景」展の関連イベントとして、パフォーマンス「呼吸する風景」を行いました。
このイベントは、魲万里絵さんの作品を展示した会場を舞台に、2つのパフォーマンスをお届けするものです。
会場では、ダンサーによる身体表現と魲による絵が呼応し合い、一体的な空間をつくりだしました。
パフォーマンスは一部と二部で構成しました。一部では、振付師でダンサーの高木貴久恵さんに出演いただきました。下の写真のように、出演者とお客さんとの距離の近さがこのイベントの特徴です。間近でみるダンサーの身体表現は、ものすごい迫力です。
パフォーマンスⅠ …
そして、そこでは肉体が風景になっている。ハンス・ベルメールのドローイングにおいては、肉体が縛られつつ、ねじられつつ、ひとつのオブジェとしてスケールを守っていた。余白の中で、あるいは森の中で、周囲との関係を持たずに孤立性を保っていた。けれども、魲の作品では、肉体が巨大化し、あるいは増幅し、世界を覆っている。その形は、周囲の物の形との相関関係において、決定されており、絵全体が、いわば風景化している。
この文章は、東京現代美術館主任研究員の保坂健次朗氏によるもので、NO-MAで販売している作品集『日本のアール・ブリュット“魲万里絵”』に掲載されています。この後も、同氏の小論文では、魲万里絵さん …
今週も滋賀県立大学人間文化学部教授の細馬宏通さんをゲストにお招きし、お話しをうかがいました。
細馬さんの著書『介護するからだ』(医学書院)を読んでいると、介護現場やアール・ブリュット、音楽が生まれる場が地続きのように並列で書かれていることに気づきます。細馬さんの中では芸術作品をみることと、介護現場でみることがどうつながっていったのでしょうか。細馬さんの見方や興味の向き方は次のようなものだそうです。
「アール・ブリュットを語る時に、今までみんな作品で語ってきた。出来上がったものが素晴らしいと。しかし、そこだけ見ているといつまで経ってもすごい才能を持った人が、孤独に耐えながら閉じこもって、 …